事務所代表 熊谷綜合労務事務所  代表 熊谷知直

熊谷綜合労務事務所 代表
特定社会保険労務士
熊谷 知直

メディア掲載

○2013年6月4日付 北海道新聞
「1人でできた労働ADR」

  doshin20130604_s

 北海道新聞社許諾

 D1307-1310-00009136

 

○2013年4月9日付 北海道新聞
「無礼講?アルハラ注意」

 

○2013年2月19日付 北海道新聞

「繰上げはお得?損?」
(厚生年金の繰り上げ受給に
 関する記事)

 

札幌の社会保険労務士事務所 熊谷綜合労務事務所のブログ

職場でノンアルコールビール あり? なし?

カテゴリ: 職場環境    投稿日:2017.06.28

 「職場でノンアルコールビールを飲む社員、あり? なし?」という話題が出ています。

 職場でノンアルコールビールを飲んでた社員が出勤停止を食らったという話です。

 

 たしかに最近は種類も豊富で、一つの飲み物のカテゴリーとして完全に定着していますので、これからはこういう社員も出てくるかもしれません。

 

 面白いのはネット上のコメントを見ても賛否がはっきりわかれている点です。ただし否定派7割、容認派3割といったところでしょうか。

 

 皆さんはどう思われますか?

 

 私自身はどちらかというと容認派です。アルコールではないのだし、お茶やコーヒーと何が違うの?と思ってしまいます。アルコール入りチョコレートが良くて、なんでノンアルはダメなの?と思います。職場で飲んでる人がいても何も思いません。

 

 しかし不快に思う方がいるのも事実です。自分は何も思わなくても、他の人は不快に感じてるかもしれないという空気は感じなければならないでしょうね。特に外部の人に見られてしまった場合、「この会社はビール飲みながら仕事してるのか」と自社のイメージを悪くさせる可能性は気を付けなければなりません。

 

 同じノンアルコールビールでも、水筒に入れて飲むのであれば不快に思わせることはないでしょう。そもそもノンアルだということがバレないでしょう。でも飲む方にとっては、ノンアルコールビールの味が好きというより「ビールを飲んでる雰囲気」を味わうのが好きというのがあるでしょうから、水筒ではダメなんでしょうね。

 

 似たケースで、タバコの問題も考えられます。社内禁煙にしてる職場で「電子タバコ」を吸う社員も出てくるかもしれません。「煙は出てないから禁煙は守れているぞ」というのではなく、会社はチームプレイですから、その行為が他人から見て不快でないかどうか、その会社の社風ではどうなのかを考える必要があるでしょう。

 

 ノンアルコールビールも電子タバコも近年登場してきた商品であり、会社でルールが定まっていない所が多いでしょう。さて経営者様、社員から質問をされたら、どうしますか?

 

 

雇用保険法等の改正

カテゴリ: 社会保険労働保険    投稿日:2017.04.19

 

 3月31日に雇用保険法等の改正案が成立しました。そのうち、今年施行される主な改正内容を取り上げたいと思います。

 

 

①雇用保険料率の引き下げ

 平成29年4月より、雇用保険料率が以下のように改正されます。

 一般の事業 労働者負担3/1000+事業主負担6/10009/1000

 農林水産・清酒製造 労働者負担4/1000+事業主負担7/1000=11/1000

 建設の事業 労働者負担4/1000+事業主負担8/1000=12/1000

(4月1日施行)

 

②失業給付の給付日数を拡充

 倒産・解雇により離職した30歳以上45歳未満の者の所定給付日数が増えます。

 30歳以上35歳未満 90日→120日に増加

 35歳以上45歳未満 90日→150日に増加

(4月1日施行)

 

③育児休業期間の延長

 現状、子が1歳に達するまで保育所に入れない等の場合に、1歳6ヶ月まで延長出来る措置になっていますが、1歳6ヶ月でもまだ保育所に入れない等の場合に再度申請することにより、2歳まで延長出来るようになります。

 これに伴い、育児休業給付の支給期間も延長されます。

(10月1日から施行)

 

④育児休業制度の個別周知

 現状、育児休業を取得しなかった理由として「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」という声が多いことから、事業主はその雇用する労働者(または配偶者)が妊娠出産した場合に、当該労働者に育児休業のことを周知する努力義務が規定されます。

 介護休業についても同様です。

(10月1日から施行)

 

⑤雇用に関する助成金に、生産性向上要件を増やす

 多くの雇用に関する助成金に、生産性の向上を図る企業に対して助成額を割増する「生産性要件」が設定されます。

(4月以降段階的に対応開始)

残業時間の上限規制

カテゴリ: 労働時間    投稿日:2017.04.10

 先月の政府の働き方改革実現会議で、残業時間の上限規制がまとまりました。今後詳細な制度設計がされ、早ければ来年の通常国会にて審議されるスケジュールになると思われます。

 連合と経団連の激しい交渉の末、最後は安倍総理の裁定を経てまとまったことから、基本的にはこの内容のまま進むと思われますが、とても複雑な内容になっています。報道された情報を基に、残業時間の上限規制案について、まとめてみました。

 

[原則] 労働時間は1日8時間、1週40時間を超えてはならない(法定労働時間)

[例外1] 変形労働時間制、裁量労働制、みなし時間外労働、管理監督者、週44時間の特例事業所等

[例外2] 「36協定届」を締結することにより、月45時間、年360時間までの残業が出来る

[例外3] 36協定に「忙しい時期の上限」を定めた特別条項を入れることで、年6回までは月45時間を超えられる。ただし年720時間以内に収めること。(法定休日労働はこれとは別にカウント出来る)

[例外4] 36協定に「特に忙しい時期の上限」として「2~6ヶ月の平均でいずれも月80時間以内」になるような上限を設定することが出来る。(法定休日労働時間を含めて)

[例外5] 36協定に「極めて忙しい時期の上限」として「月100時間未満」になるような上限を設定することが出来る。(法定休日労働時間を含めて)

 

  [例外1]は現在もあり、[例外2]は「大臣告示」という形で存在します。例外2を超える上限設定は、36協定の特別条項を使えば、無制限に設定することが出来ます。それを、[例外2]も含めて全て「罰則付きの法律」という形にしようというのが今回の規制案です。

 

 これが全体像ですが、何とも複雑な制度に仕上がったものです。

 これほど複雑な法律が中小企業含め事業者にきちんと理解されると、偉い方々は本気で思っているのでしょうか。ルールというのは極めてシンプルでないと守られません。これだけ複雑な制度設計をしておいて、「悪意」でなく「ミス」による違反者に対しても罰則を科していこうというのは理解に苦しみます。

 

 そうとはいえ事業者としては、決まった以上中身を理解して経営していかなければなりません。こんなときこそ社労士を使い、頼って頂きたいと思います。

 

労働基準監督業務 社労士へ委託へ?

カテゴリ: 社労士    投稿日:2017.03.09

 

 政府の規制改革推進会議が、労働基準監督業務の一部を社会保険労務士などの民間事業者に委託する検討を進めるという、驚きのニュースが報じられました。

 委託対象業務の範囲や民間事業者の権限などを詰め、6月に安倍晋三首相に提出する答申に盛り込むとのことです。

 労働基準監督署は慢性的な人手不足に陥っており、違法な長時間労働の是正など企業に対する監督が困難になっていることは以前より指摘されていました。

 

 だからといって社労士が? 社労士である私が言うのもなんですが「大丈夫か?」というのが第一印象でした。というのも、昨年話題になった「うつ病ブログ」の社労士のように、過度に企業側に偏っている社労士が実際に存在しているのも事実だからです。

 

 社労士に委託するとなると、委託する「権限」と「内容」が問題になります。労働基準監督官は「司法警察官」と呼ばれ、普通の警察と同じように強制捜査や逮捕、送検をする権限を持っています。民間人である社労士にこうした権限を渡すことは法技術上出来ないはずなので、「確認」「注意」「監督官(警察)への報告」といった内容に留まるのではないかと思われます。

 

 イメージとしては、報道の中にも例として出てきた「駐車監視員」のような感じでしょうか? 彼らは駐車違反の「取締り」は出来ず、出来ることは放置車両の確認及び確認標章の取付け、警察への報告に留まります。違反者に対しての交通反則切符の作成・交付等は警察が行います。

 

 たとえこの程度の制限された権限であっても、今のように違法な会社の野放しが続くことに比べれば、企業を巡回する「みなし公務員」が増えることはプレッシャーになるので、効果はあるかなと思います。

 

 しかし先にも言ったように、過度に企業に偏り過ぎる社労士を選定してしまうと、「報告を上げない」「揉み消す」といったことも心配されます。社労士の「選定」が一つポイントになるのかもしれません。このニュースに対するネット上の声を見ても、残念ながら社労士への不信感から反対する声が多いです。社労士はこうしたイメージを持たれていることを認識し、襟を正して日頃から業務を行わなければならないと、私も改めて自覚をしたいと思います。

解雇の金銭解決制度

カテゴリ: 解雇    投稿日:2017.03.07

 

 先日、解雇の金銭解決制度法案を議論する厚生労働省の検討会が開かれたとのニュースがありました。

 この法案、議論は継続して続いていたのかもしれませんが、一国民からすると現れては消え、また亡霊のように現れては消えを繰り返している印象なので、ホワイトカラーエグゼンプションと並んで「二大亡霊法案」と呼ばれています(私が勝手に呼んでいます)。
 今回またニュースになったので、ブログで取り上げてみようと情報を調べてみましたが、厚労省で今どのような議論になっていて、またどんな制度にしようとしているのか、情報が少なくてよくわからない状態です。上から降りてくる情報が少ないせいか、論じている専門家の方も少ない印象です。
 しかし導入されれば国民生活に大きな影響を及ぼす重要な法案ですので、少し取り上げてみたいと思います。

1.議論が起こったきっかけ
 そもそも解雇金銭解決制度の議論が起こったきっかけは、厳格な解雇規制を緩和することで企業の経営の自由度が増し経済を活性化させることが出来るからという経営側の要望のようです。例えば新規事業を立ち上げる時、もし失敗したらいくら払えば労働者を解雇出来るんだとわかっていれば、リスクを踏まえた上で立ち上げることが出来るので立ち上げやすくなり、チャレンジする土壌が出来るという訳です。
 労働者にとってもメリットがあります。従来解雇の無効を裁判所で争い無効となった場合、信頼関係は破綻しているため現実的に現場復帰は難しく、一定の和解金をもらって解決するケースが多いです。あらかじめ補償金をもらえれば、わざわざ裁判を経る手間が省けます。また、金銭的に裁判を起こすことが困難な労働者にとっては泣き寝入りするしかなかったので、補償金が自動的に入る仕組みはメリットでしかありません。

2.主な論点
 解雇金銭解決制度の報道を見ると、大きな論点は次の2つのようです。
①企業からの申立てを認めるか
②補償金をいくらくらいにするか

 「①企業からの申立てを認めるか」はとても重要なポイントです。もしこれを認めず、労働者からの申立てだけにするなら、労働者にとっては「金銭解決か裁判か」との選択肢が増えるのでメリットがありますが、企業にとっては労働者に裁判を起こされるリスクが引き続き残るので、そもそも解雇金銭解決制度の議論を立ち上げた意味が根本から無くなってしまいます。それだとこの制度を導入する理由がもはや無いので、企業からの申立ては認めるという前提で議論を進めるべきでしょう。
 企業からの申立てを認めることには「カネさえ払えば自由に解雇出来てしまう」と労働者側からの反発があります。解雇の乱発を防ぐには、論点の②である補償金を高額に設定すれば良いでしょう。そう簡単には解雇出来ない程の額に設定すれば、いいかげんな理由をつけての不当な金銭解雇は事実上防ぐことが出来ます。

 先に労働者からの申立てだけを認めて法案を成立させようとの意見もあるようですが、労働者側は「ゆくゆく企業からの申立ても認めるようにするのではないか」と懸念しているようですし、政府や厚労省も後出しジャンケンのように後から企業の申立てを持ち出すようなことはせずに、最初から法案の完成形を示して議論すべきです。企業の解雇がしやすくなって経営がしやすくなることは、雇用市場全体で見れば雇用が増えるという労働者にとってのメリットもあるはずなので、そのメリットを示して正々堂々と議論すべきです。

 お金を払えば解雇出来るようになったとしても、そんなに解雇が急増するとは思えません。お金を払うことは企業にとっても大きなリスクですし、仮に意味のない解雇を乱発するような会社があれば、その横暴ぶりはネットで晒され、求職者が応募しなくなるでしょう。既に企業にとっては人手不足の時代に入っていますし、ネットでの評判は経営を左右するほどです。労働者から選ばれない会社は淘汰されていくだけです。

 また労働者側の意見として、「今ある労働審判やあっせんなどの制度を充実させていけば足りるのでわざわざ新しい制度を作る意味がない」というのがありましたが、具体的にどう充実させていくのかの案が見当たりませんでした。確かに、裁判と労働審判はほぼ弁護士さんに依頼しなければ利用出来ませんし、あっせんは一人で出来るが参加に強制力が無いなど、どれも不便があり、労働者に泣き寝入りをさせている原因になっています。これらの制度が労使にとって使いやすい制度になれば新法を作る必要は無いので、対案が示されることを期待します。

 という訳で私は現時点では金銭解決制度に大筋賛成なのですが、重要な法案ですので、厚労省はもっと論点を明確にして、密室で進めるのではなく我々国民を巻き込んだ議論が出来るようにして頂きたいと思います。

 

 

※この投稿はMIRAI相互創造推進協会のブログに掲載させて頂いたものです。

4月から社会保険の加入対象が中小企業にも拡大

カテゴリ: 社会保険労働保険    投稿日:2017.03.01

 

 平成29年4月1日から、労使合意がなされれば中小企業にも健康保険・厚生年金保険の加入対象が広がります。

 

 社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、平成28年10月1日より、正社員の4分の3以上働く人(一般的に週30時間以上)のみならず、下記の5要件を全て満たす短時間勤務の方へも対象が広がってきました。

 

①週の所定労働時間が20時間以上あること

②雇用期間が1年以上見込まれること

③賃金月額が8.8万円以上であること

④学生でないこと

⑤従業員数が501人以上であること

 

 4月1日からは、上記⑤の要件を満たさない「500人以下の会社」でも、労使の合意があれば社会保険に加入できるようになります。

 

 「労使の合意」とは、労働者側については、既に社会保険の対象になっている人とこれから対象になり得る人を合わせて2分の1以上の同意が必要ということです。

 

 この4月からの改正を使って、すぐに社会保険に加入させようという企業は少ないと思いますが、社会保険の適用範囲については「平成31年9月までにさらに検討を進める」と法律で決まっているため、将来的には労使の合意が必要なく義務化される可能性があり、今回の改正はそれに向けた”布石”であると言えると思います。

 

 特に短時間労働者を多く使っている中小企業にとってはかなりの負担増になるため、今後の法改正の動向に注目が必要です。

 

 

 

プレミアムフライデーで働き方は変わるか

カテゴリ: 労働時間    投稿日:2017.02.24

 今日、2月24日からプレミアムフライデーが始まりました。

 プレミアムフライデーとは、政府と経済界が連携して取り組む消費喚起策のことで、月末の金曜日の退社・退庁時刻を早め、働く人々が夕方から買い物や飲食、趣味、旅行などを楽しめるように促す全国的なキャンペーンのことをいいます。

 売上増が期待出来る小売店や飲食店、旅行会社、カルチャークラブなどは早速キャンペーンを打ち出すなどしています。

 

 このプレミアムフライデーは、消費喚起だけでなく、長時間労働の是正といった働き方改革にも繋がることが期待されています。

 既に一部の大企業では、午後3時終業を推奨するところが出てきていますし、プレミアムフライデーに使うために1万円を配るといった企業も出てきています。

 

一方で、

・仕事量が変わらないのに終業時刻だけ早めても、他の日にしわ寄せが行くだけ。

・人員に余裕が無い中小企業では絶対に無理

・小売・サービス業の労働者にとっては逆に地獄。忙しい日が増えるだけ。

 

といった声もあります。

 

 「仕事量が変わらないのに、他の日にしわ寄せが行くだけ」というのが一番重要なポイントだと思います。せっかくプレミアムフライデーを導入して月末の金曜日に早く帰れても、その分他の日に残業や休日出勤をしていたら何も変わりません。純粋に労働時間が短くならなければ導入した意味がありません。

 これは現在政府が推進している、残業時間の上限規制を始めとした働き方改革とも通じる話になります。プレミアムフライデーなど関係ないと考えている企業でも、長時間労働の是正に向けた行政からの圧力は今後ますます強くなると思われますので、「今までよりも短い時間で同じ仕事の成果を出す」「今までより少ない人員で同じ仕事量をこなす」こうした「労働生産性の向上」をどの企業も真剣に考えなければいけない時代になりつつあるのだと思います。

 諸外国と比べて労働生産性が悪いと言われている日本ですので、こういったキャンペーンも一つのきっかけとして、業務の効率化に取り組む企業が増え、労働生産性が向上していけば良いと思います。

 

 人手不足に悩む中小企業には絶対に無理という声もありますが、逆転の発想で、プレミアムフライデーを導入していることを求人の売りにしても良いと思います。今はまだ中小企業で導入しているところは少ないと思うので、良い意味で目立つと思いますし、求職者は給与だけでなく、勤務時間が自分に合っているかといった「働きやすさ」も会社選びの重要なポイントに上げています。柔軟な労働時間に取り組んでいることは、求職者の応募増にもプラスになると思われます。

 

 なお「小売業・サービス業の人にとっては地獄」というのは今に始まった話ではありません。

 今までは土日が絶対出勤だったのが、金土日になったとして、1週間の法定労働時間が増える訳ではないので、他の平日に余分に休みを取れば良いだけだと思います。私も小売業出身者なのでわかるのですが、そもそも小売サービス業に勤めている人は、他の人が休んでいる時に働くことを承知で入ってきてるので、そこに不平を感じてる人は少ないと思います。むしろ他の人が休めない平日に休めるというレア感に喜びを感じています。テーマパークに行ってもショッピングに行っても空いてるし「平日料金」でお得に遊べるというメリットを楽しんでいる人が多いと思います。

 

 様々な声が交錯する中で始まったプレミアムフライデーですが、企業にとってプラスになるところも多い制度だと思いますので、導入することに一考の余地はあると思います。今は一部の大企業と自治体だけが取り組み始めた印象ですが、そのうち定着し参加企業が増えていくことを期待しています。

清水富美加さん騒動から考える労働問題

カテゴリ: 時事    投稿日:2017.02.14

 

 女優の清水富美加さんが突然幸福の科学に出家し、芸能界を引退すると発表したことが大きな話題として報じられています。

 

 清水さんが芸能界を辞めて出家すること自体は本人の自由であり特に異論は聞かれませんが、その辞め方が突然すぎて、事務所との契約期間の途中でもあり、CM、レギュラー番組、映画など多くの仕事に多大な影響が出ることが、社会人として勝手すぎる、辞めるにしても迷惑を掛けない辞め方をしなければならないなどといった批判の声が多く上がっています。

 

 こうした報道を見ていると、私が労働相談でよく受ける「会社を辞めたいのに辞めさせてくれない」という相談を思い出します(清水さんは労働契約ではないので清水さんの場合とは別問題ですが)。

 

 数年前までは会社に解雇されたという相談が多かったのが、ここ2~3年はその逆パターンである「辞めさせてくれない」という相談が多くなってきた気がします。正直、とても多いです。

 

 法的には対応は意外と簡単で、退職の意思表示が人事権者に伝われば、雇用期間の定めのない契約の場合原則2週間後に雇用契約は解除されます。会社が承認したかどうかは関係ありません。よって「退職届を書いて渡してきてください。受け取ってもらえなくても目の前に置いて帰ってきてください」助言としてはこれだけです。

 

 しかし相談に来る労働者の方にとっては、そんな簡単な話ではありません。辞めさせないという会社の場合、多くは辞めさせないためにあらゆる手段を取ってきます。「お前が急に辞めることで損害が生じるから損害賠償を請求する」とか「お前の家族に会いにいく」などの脅し文句だとか、18時の終業時刻に退職したいと伝えたらその後夜中の3時まで社内に拘束されて飲まず食わずで説得されたとか、これらは実際にあった話です。そうなると退職を伝えることが怖くなって、結局会社に残ってしまう。しかし辞めたいと思っている人は、パワハラだったり長時間労働だったり人間関係に何らかの問題があって辞めたがっている人が多いので、我慢をして続けていると徐々にストレスが蓄積されてうつや精神病に陥ってしまう。こうなるともう手遅れで、辞めた後に再就職も出来ずに人生が大きく狂ってしまいます。

 

 私は、本当に相談者の人が追い込まれていれば、退職届を書留で送りつけるといったアドバイスをすることもあります。有休がもし残っていれば残期間は全て有休消化にしてしまえば、もう出社することなく辞めていくことだって出来ます。社会人として良くないことはわかっています。本当はちゃんと最後に目を見て「お世話になりました」と挨拶して辞めていくべきでしょう。でも「もう怖いんです。社長と二人きりになると動悸が激しくなって震えてしまうんです」と目の前で号泣している人に、「手順をちゃんと踏みましょう」などととても言えません。

 

 そもそも労働者の人がこんなに追い詰められる程に、社内で何があったのでしょう? そしてこれほど辞めたがっている人を無理矢理残しておいて、本当に大丈夫なのでしょうか? 毎日毎日憂鬱な表情で仕事をされて、職場の士気にも影響するのではないでしょうか? 経営側の視点から見ると、辞めたがっている人を残しておくことは何のメリットもなく、リスクしかありません。そういったことも考えられないなら、労働者から相談を受ける側としてはもう一方的な手段を取るしかないんじゃないかと思ってしまいます。

 

 「労働者がウソを言ってるかもしれないじゃないか」 そうかもしれません。本当はそこまで追い込まれておらず、ただラクして辞める方法を探しているだけかもしれません。でも、もしそういう人だったら、その人はこれからの人生ずっと苦労していくことになるでしょう。入る会社入る会社、ちょっとでも不満があればラクで一方的な辞め方を続けていって、気付いたら自分に何も残らずいい歳になってしまった…ということになるでしょう。その人生の苦労は、その人自身が背負っていくべき責任です。

 

 清水さんも「意に反する仕事を強要されてギリギリの精神状態だった」とも言われています。真実はどうなのかわかりませんが、時には社会のルールや手順よりも優先される、人命や健康というものがあるのではないかと思います。

 

 

※この投稿はMIRAI相互創造推進協会のブログに掲載させて頂いたものです。

 

結構怖い36協定

カテゴリ: 労働時間    投稿日:2017.02.07

 先日、厚生労働省より、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果というものが公表されました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000148739.html

 これによると、昨年4月から9月の間に、1ヶ月あたり80時間を超える残業が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった10,059の事業場に対し監督指導を実施し、43.9%に当たる4,416事業場で「違法な時間外労働」を確認したとのことです。

 一昨年より労働局に「かとく」と呼ばれる過重労働対策専門チームが出来て、名の知れた企業に対し書類送検といった厳しい対応をしたことがニュースになりましたが、折しも昨年は電通事件も起き、世間の長時間労働に対する見方は厳しくなっています。こうした世間の声を背景に、今後も益々行政による取締りが強化されるものと予想されます。

Q 違法な時間外労働と言いますが、何時間を超えると違法なのでしょうか?

A 具体的な時間数が決められている訳ではなく、「36協定」が問題になります。

 この厚生労働省の資料によれば、「違法な時間外労働」というのは、
①36協定なく時間外労働を行わせていたもの
②36協定で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせていたもの
と書かれています。

 法定労働時間は原則1日8時間、1週40時間で、これは労働基準法32条に書かれています。しかし労使が時間外労働に関する協定を結び行政官庁に届出れば、その協定で定められた時間の範囲内ならば時間外労働を行わせても刑罰が免除されるという扱いになっています(この免罰効果が36条に書かれているので36協定と呼ばれています)。
 すなわち36協定が締結・届出されていなければ、或いは締結されていても協定を超える時間外労働が行われていたら、免罰効果が無くなり32条違反となります。これが違法な時間外労働の法的根拠です。

 協定で定めた限度時間を超えたら違法となると、じゃあ一体何時間で締結すれば良いのかということが問題になります。36協定で定められる時間外労働の上限は、例えば1ヶ月だと45時間以内という基準が決められていますので、基準ギリギリいっぱいの45時間で出している事業所が多いようです。しかしとてもじゃないが繁忙期はこんなものじゃおさまらないのでしたら、特別条項といって、年6回を超えない範囲で45時間を超える時間外労働を認める特別な条項を協定に入れることも出来ます。
 少なめに協定を結んで実際オーバーしていたら違法になる訳ですから、じゃあ多めに結んでおいた方が良いんじゃないかと思うかもしれません。特別条項には上限は特に決められていないので何時間でも労使が合意すれば締結できます。ただし過労死基準と言われる月80時間を超える協定を出すと、当然「この会社はずいぶん長いな」と目をつけられるので、監督指導の対象になる可能性が高まるという訳です。
(ちなみに一昨年は月100時間超の疑いの事業場が監督指導の対象でしたが、昨年は80時間に引き下げられました)

 小規模企業などでは、「こんな紙1枚出すことに何の意味があるの?」とあまり重要視していない所も見受けられますが、労基による調査でも36協定の有無というのは重点調査項目になっており、36協定の有無と適正な運用というのは企業の大小を問わずとても重要視されています。

 なお私見ですが、今後は「労働者代表が適切に選出されているか」もクローズアップされていくのではないかと考えています。小さい会社などでは、社長が事務の人あたりを呼んできて「おーい、君、ここにハンコ押しといて」という所が結構あるのではないかと思います。労働者代表の選出はあくまでも労働者の中で話し合って自主的に選んでもらう…ということになっているので、他の従業員が「うちに36協定なんてありましたっけ?」的なことになると、協定が無効になり32条違反で是正勧告ということになるかもしれません。

 そこまでガチガチにやらなきゃいけないのか、面倒だなぁと思うかもしれませんが、社会的に残業に対する見方が厳しくなってきたのは時代の流れだと思います。企業を守るためにも、長時間労働を根本的に減らしていくことが一番ですが、36協定の適切な締結から始めていかれると良いと思います。

※なお、現在政府が時間外労働の上限を定める労働基準法改正を検討しています。
これが通れば、違法な時間外労働の時間数が初めて具体的に決まることになりますので、議論の行方に注目です。

 

(この原稿は私がMIRAI相互創造推進協会のブログに投稿させて頂いたものを一部手直ししたものです)

育児介護休業法改正の8つのポイント

カテゴリ: 育児介護休業    投稿日:2017.01.13

 平成29年1月1日より改正育児介護休業法が施行されました。以下に8つのポイントを簡単にまとめてみました。

 

1.介護休業の分割取得

[従前] 介護休業について、介護を必要とする家族(対象家族)1人につき通算93日まで原則1回に限り取得可能

[改正後] 対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として分割して取得可能

 

2.介護のための所定労働時間の短縮措置等

[従前] 介護のための所定労働時間の短縮措置は、介護休業と通算して93日まで取得可能

[改正後] 介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能

 

3.介護のための所定外労働の制限(残業の免除)

[従前] なし

[改正後] 対象家族1人につき、介護終了まで、介護のための所定外労働の制限(残業の免除)を申し出ることが出来る制度が新設

 

4.有期契約労働者の介護休業取得要件の緩和

[従前] ①雇用1年以上であること ②休業開始予定日から93日を経過する日以降も雇用継続の見込みがあること ③93日経過日から1年経過するまでの間に更新されないことが明らかな者は除く

[改正後] ①雇用1年以上であること ②93日経過日から6ヶ月を経過する日までの間に、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては更新後のもの)が満了することが明らかでない者

 

5.有期契約労働者の育児休業取得要件の緩和

[従前]  ①雇用1年以上であること ②1歳以降も雇用継続の見込みがあること ③2歳までの間に更新されないことが明らかである者は除く

[改正後]  ①雇用1年以上であること ②子が1歳6ヶ月になるまでの間に、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては更新後のもの)が満了することが明らかでない者

 

6.介護休暇・子の看護休暇の半日単位の取得

[従前] 介護休暇・子の看護休暇は、1日単位での取得

[改正後] 半日単位(所定労働時間の2分の1)での取得が可能に。

 

7.育児休業の対象となる子の範囲

[従前] 法律上の親子関係である実子・養子

[改正後] 特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子といった、法律上の親子関係に準じると言えるような子も追加

 

8.妊娠・出産・育児休業・介護休業をしながら就労する労働者の環境整備

[従前] 事業主による不利益取扱いを禁止

[改正後] 妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする、上司・同僚による就業環境を害する行為を防止するため、雇用管理上必要な措置を事業主に義務付ける。

 

 

詳しいQ&Aなどが厚生労働省のサイトに載っていますので、ご参考にしてください。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

 

ほとんどの企業で育児介護休業規程の変更が必要になると思いますので、忘れずに実施を進めていってください。

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