事務所代表 熊谷綜合労務事務所  代表 熊谷知直

熊谷綜合労務事務所 代表
特定社会保険労務士
熊谷 知直

メディア掲載

○2013年6月4日付 北海道新聞
「1人でできた労働ADR」

  doshin20130604_s

 北海道新聞社許諾

 D1307-1310-00009136

 

○2013年4月9日付 北海道新聞
「無礼講?アルハラ注意」

 

○2013年2月19日付 北海道新聞

「繰上げはお得?損?」
(厚生年金の繰り上げ受給に
 関する記事)

 

札幌の社会保険労務士事務所 熊谷綜合労務事務所のブログ

10月からの育児介護休業法改正のポイント

カテゴリ: 育児介護休業    投稿日:2017.08.10

 

 今年1月に改正された育児介護休業法ですが、10月からまた改正があります。

 今回の改正のポイントは3つです。

 

 

1.2歳まで育児休業が延長可能に

 現在は最大で1歳6ヶ月までの育児休業の延長が可能となっていますが、1歳6ヶ月時点で以下の2つの要件を満たしていると、更に2歳まで延長することが出来るようになります。

 ①育児休業の対象となっている子が1歳6ヶ月に達する日において、従業員本人または配偶者が育児休業をしている場合

 ②保育所に入所を希望しているが出来なかったり、1歳6ヶ月以降育児をする予定だった従業員の配偶者が死亡・負傷・疾病で出来なくなった等、1歳6ヶ月を超えても休業が特に必要と認められる場合

 

 この改正に伴い、ハローワークから支給される「育児休業給付金」も最大2歳まで延長されます。

 

 

2.子供が生まれる予定の従業員に育児休業等の制度をお知らせ(努力義務)

 事業主は、従業員やその配偶者が妊娠・出産したことを知ったとき、又は対象家族を介護していることを知ったときは、関連する制度について「個別に」周知するための措置を講ずるよう努力しなければならない

 

 なお従業員のプライバシー保護とのバランスから、「従業員が自発的に知らせることを前提にした」措置とされています。また周知する際には、育児休業の再取得の特例(いわゆるパパ休暇)、パパママ育休プラス、その他の両立支援制度を合わせて周知することが望ましいとされています。

 

 

3.育児目的休暇の導入促進(努力義務)

 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員に対して、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設けるよう努力しなければならない

 

 例えば「配偶者出産休暇」や、入園式・卒園式などの行事参加にも利用できる多目的休暇が考えられます。

 

 

 今年1月施行で就業規則を変えたばかりの事業所がほとんどだと思いますが、再び変更の準備をする必要がありますのでご注意ください。

最低賃金、昨年に続き大幅引き上げへ

カテゴリ: 賃金    投稿日:2017.07.31

 

 先週、中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安についての答申が取りまとめられ、公表されました。

 今後は、各地方最低賃金審議会で、地域実態等を踏まえて調査審議され、各都道府県労働局長により決定されることになります。しかし例年の傾向によれば、中央最低賃金審議会での目安とは大きく異ならないと思われます。

 さてその目安ですが、全国平均の引上げ額は25で、大幅増だった昨年の24円を更に上回る引上げとなりました。

 引上げ額は、全都道府県をABCDの4つのランクに分けAランク(東京、大阪、愛知など)が26円、Bランク(静岡、京都、広島など)が25円、Cランク(北海道、宮城、福岡など)が24Dランク(青森、沖縄など)が22円引上げられ、全都道府県で20円を超える引上げ額となりました。

 

 北海道は現在の最低賃金額が時給786円なので、24円引き上げられると810となり、いよいよ800円の大台を超えてくることになります。

 

 中小零細企業においては厳しい状況です。「生産性向上」への取り組みを徹底的に進めていかなければなりません。

 

 

中央最低賃金審議会が公表した平成29年度の最低賃金額の目安(暫定)

 

都道府県

平成28年度

平成29年度目安(暫定)

北海道

786

810

青森県

716

738

岩手県

716

738

宮城県

748

772

秋田県

716

738

山形県

717

739

福島県

726

748

茨城県

771

796

栃木県

775

800

群馬県

759

783

埼玉県

845

870

千葉県

842

868

東京都

932

958

神奈川県

930

956

新潟県

753

777

富山県

770

795

石川県

757

781

福井県

754

778

山梨県

759

783

長野県

770

795

岐阜県

776

800

静岡県

807

832

愛知県

845

871

三重県

795

820

滋賀県

788

813

京都府

831

856

大阪府

883

909

兵庫県

819

844

奈良県

762

786

和歌山県

753

777

鳥取県

715

737

島根県

718

740

岡山県

757

781

広島県

793

818

山口県

753

777

徳島県

716

738

香川県

742

766

愛媛県

717

739

高知県

715

737

福岡県

765

789

佐賀県

715

737

長崎県

715

737

熊本県

715

737

大分県

715

737

宮崎県

714

736

鹿児島県

715

737

沖縄県

714

736

 

 

職場でノンアルコールビール あり? なし?

カテゴリ: 職場環境    投稿日:2017.06.28

 「職場でノンアルコールビールを飲む社員、あり? なし?」という話題が出ています。

 職場でノンアルコールビールを飲んでた社員が出勤停止を食らったという話です。

 

 たしかに最近は種類も豊富で、一つの飲み物のカテゴリーとして完全に定着していますので、これからはこういう社員も出てくるかもしれません。

 

 面白いのはネット上のコメントを見ても賛否がはっきりわかれている点です。ただし否定派7割、容認派3割といったところでしょうか。

 

 皆さんはどう思われますか?

 

 私自身はどちらかというと容認派です。アルコールではないのだし、お茶やコーヒーと何が違うの?と思ってしまいます。アルコール入りチョコレートが良くて、なんでノンアルはダメなの?と思います。職場で飲んでる人がいても何も思いません。

 

 しかし不快に思う方がいるのも事実です。自分は何も思わなくても、他の人は不快に感じてるかもしれないという空気は感じなければならないでしょうね。特に外部の人に見られてしまった場合、「この会社はビール飲みながら仕事してるのか」と自社のイメージを悪くさせる可能性は気を付けなければなりません。

 

 同じノンアルコールビールでも、水筒に入れて飲むのであれば不快に思わせることはないでしょう。そもそもノンアルだということがバレないでしょう。でも飲む方にとっては、ノンアルコールビールの味が好きというより「ビールを飲んでる雰囲気」を味わうのが好きというのがあるでしょうから、水筒ではダメなんでしょうね。

 

 似たケースで、タバコの問題も考えられます。社内禁煙にしてる職場で「電子タバコ」を吸う社員も出てくるかもしれません。「煙は出てないから禁煙は守れているぞ」というのではなく、会社はチームプレイですから、その行為が他人から見て不快でないかどうか、その会社の社風ではどうなのかを考える必要があるでしょう。

 

 ノンアルコールビールも電子タバコも近年登場してきた商品であり、会社でルールが定まっていない所が多いでしょう。さて経営者様、社員から質問をされたら、どうしますか?

 

 

雇用保険法等の改正

カテゴリ: 社会保険労働保険    投稿日:2017.04.19

 

 3月31日に雇用保険法等の改正案が成立しました。そのうち、今年施行される主な改正内容を取り上げたいと思います。

 

 

①雇用保険料率の引き下げ

 平成29年4月より、雇用保険料率が以下のように改正されます。

 一般の事業 労働者負担3/1000+事業主負担6/10009/1000

 農林水産・清酒製造 労働者負担4/1000+事業主負担7/1000=11/1000

 建設の事業 労働者負担4/1000+事業主負担8/1000=12/1000

(4月1日施行)

 

②失業給付の給付日数を拡充

 倒産・解雇により離職した30歳以上45歳未満の者の所定給付日数が増えます。

 30歳以上35歳未満 90日→120日に増加

 35歳以上45歳未満 90日→150日に増加

(4月1日施行)

 

③育児休業期間の延長

 現状、子が1歳に達するまで保育所に入れない等の場合に、1歳6ヶ月まで延長出来る措置になっていますが、1歳6ヶ月でもまだ保育所に入れない等の場合に再度申請することにより、2歳まで延長出来るようになります。

 これに伴い、育児休業給付の支給期間も延長されます。

(10月1日から施行)

 

④育児休業制度の個別周知

 現状、育児休業を取得しなかった理由として「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」という声が多いことから、事業主はその雇用する労働者(または配偶者)が妊娠出産した場合に、当該労働者に育児休業のことを周知する努力義務が規定されます。

 介護休業についても同様です。

(10月1日から施行)

 

⑤雇用に関する助成金に、生産性向上要件を増やす

 多くの雇用に関する助成金に、生産性の向上を図る企業に対して助成額を割増する「生産性要件」が設定されます。

(4月以降段階的に対応開始)

残業時間の上限規制

カテゴリ: 労働時間    投稿日:2017.04.10

 先月の政府の働き方改革実現会議で、残業時間の上限規制がまとまりました。今後詳細な制度設計がされ、早ければ来年の通常国会にて審議されるスケジュールになると思われます。

 連合と経団連の激しい交渉の末、最後は安倍総理の裁定を経てまとまったことから、基本的にはこの内容のまま進むと思われますが、とても複雑な内容になっています。報道された情報を基に、残業時間の上限規制案について、まとめてみました。

 

[原則] 労働時間は1日8時間、1週40時間を超えてはならない(法定労働時間)

[例外1] 変形労働時間制、裁量労働制、みなし時間外労働、管理監督者、週44時間の特例事業所等

[例外2] 「36協定届」を締結することにより、月45時間、年360時間までの残業が出来る

[例外3] 36協定に「忙しい時期の上限」を定めた特別条項を入れることで、年6回までは月45時間を超えられる。ただし年720時間以内に収めること。(法定休日労働はこれとは別にカウント出来る)

[例外4] 36協定に「特に忙しい時期の上限」として「2~6ヶ月の平均でいずれも月80時間以内」になるような上限を設定することが出来る。(法定休日労働時間を含めて)

[例外5] 36協定に「極めて忙しい時期の上限」として「月100時間未満」になるような上限を設定することが出来る。(法定休日労働時間を含めて)

 

  [例外1]は現在もあり、[例外2]は「大臣告示」という形で存在します。例外2を超える上限設定は、36協定の特別条項を使えば、無制限に設定することが出来ます。それを、[例外2]も含めて全て「罰則付きの法律」という形にしようというのが今回の規制案です。

 

 これが全体像ですが、何とも複雑な制度に仕上がったものです。

 これほど複雑な法律が中小企業含め事業者にきちんと理解されると、偉い方々は本気で思っているのでしょうか。ルールというのは極めてシンプルでないと守られません。これだけ複雑な制度設計をしておいて、「悪意」でなく「ミス」による違反者に対しても罰則を科していこうというのは理解に苦しみます。

 

 そうとはいえ事業者としては、決まった以上中身を理解して経営していかなければなりません。こんなときこそ社労士を使い、頼って頂きたいと思います。

 

労働基準監督業務 社労士へ委託へ?

カテゴリ: 社労士    投稿日:2017.03.09

 

 政府の規制改革推進会議が、労働基準監督業務の一部を社会保険労務士などの民間事業者に委託する検討を進めるという、驚きのニュースが報じられました。

 委託対象業務の範囲や民間事業者の権限などを詰め、6月に安倍晋三首相に提出する答申に盛り込むとのことです。

 労働基準監督署は慢性的な人手不足に陥っており、違法な長時間労働の是正など企業に対する監督が困難になっていることは以前より指摘されていました。

 

 だからといって社労士が? 社労士である私が言うのもなんですが「大丈夫か?」というのが第一印象でした。というのも、昨年話題になった「うつ病ブログ」の社労士のように、過度に企業側に偏っている社労士が実際に存在しているのも事実だからです。

 

 社労士に委託するとなると、委託する「権限」と「内容」が問題になります。労働基準監督官は「司法警察官」と呼ばれ、普通の警察と同じように強制捜査や逮捕、送検をする権限を持っています。民間人である社労士にこうした権限を渡すことは法技術上出来ないはずなので、「確認」「注意」「監督官(警察)への報告」といった内容に留まるのではないかと思われます。

 

 イメージとしては、報道の中にも例として出てきた「駐車監視員」のような感じでしょうか? 彼らは駐車違反の「取締り」は出来ず、出来ることは放置車両の確認及び確認標章の取付け、警察への報告に留まります。違反者に対しての交通反則切符の作成・交付等は警察が行います。

 

 たとえこの程度の制限された権限であっても、今のように違法な会社の野放しが続くことに比べれば、企業を巡回する「みなし公務員」が増えることはプレッシャーになるので、効果はあるかなと思います。

 

 しかし先にも言ったように、過度に企業に偏り過ぎる社労士を選定してしまうと、「報告を上げない」「揉み消す」といったことも心配されます。社労士の「選定」が一つポイントになるのかもしれません。このニュースに対するネット上の声を見ても、残念ながら社労士への不信感から反対する声が多いです。社労士はこうしたイメージを持たれていることを認識し、襟を正して日頃から業務を行わなければならないと、私も改めて自覚をしたいと思います。

解雇の金銭解決制度

カテゴリ: 解雇    投稿日:2017.03.07

 

 先日、解雇の金銭解決制度法案を議論する厚生労働省の検討会が開かれたとのニュースがありました。

 この法案、議論は継続して続いていたのかもしれませんが、一国民からすると現れては消え、また亡霊のように現れては消えを繰り返している印象なので、ホワイトカラーエグゼンプションと並んで「二大亡霊法案」と呼ばれています(私が勝手に呼んでいます)。
 今回またニュースになったので、ブログで取り上げてみようと情報を調べてみましたが、厚労省で今どのような議論になっていて、またどんな制度にしようとしているのか、情報が少なくてよくわからない状態です。上から降りてくる情報が少ないせいか、論じている専門家の方も少ない印象です。
 しかし導入されれば国民生活に大きな影響を及ぼす重要な法案ですので、少し取り上げてみたいと思います。

1.議論が起こったきっかけ
 そもそも解雇金銭解決制度の議論が起こったきっかけは、厳格な解雇規制を緩和することで企業の経営の自由度が増し経済を活性化させることが出来るからという経営側の要望のようです。例えば新規事業を立ち上げる時、もし失敗したらいくら払えば労働者を解雇出来るんだとわかっていれば、リスクを踏まえた上で立ち上げることが出来るので立ち上げやすくなり、チャレンジする土壌が出来るという訳です。
 労働者にとってもメリットがあります。従来解雇の無効を裁判所で争い無効となった場合、信頼関係は破綻しているため現実的に現場復帰は難しく、一定の和解金をもらって解決するケースが多いです。あらかじめ補償金をもらえれば、わざわざ裁判を経る手間が省けます。また、金銭的に裁判を起こすことが困難な労働者にとっては泣き寝入りするしかなかったので、補償金が自動的に入る仕組みはメリットでしかありません。

2.主な論点
 解雇金銭解決制度の報道を見ると、大きな論点は次の2つのようです。
①企業からの申立てを認めるか
②補償金をいくらくらいにするか

 「①企業からの申立てを認めるか」はとても重要なポイントです。もしこれを認めず、労働者からの申立てだけにするなら、労働者にとっては「金銭解決か裁判か」との選択肢が増えるのでメリットがありますが、企業にとっては労働者に裁判を起こされるリスクが引き続き残るので、そもそも解雇金銭解決制度の議論を立ち上げた意味が根本から無くなってしまいます。それだとこの制度を導入する理由がもはや無いので、企業からの申立ては認めるという前提で議論を進めるべきでしょう。
 企業からの申立てを認めることには「カネさえ払えば自由に解雇出来てしまう」と労働者側からの反発があります。解雇の乱発を防ぐには、論点の②である補償金を高額に設定すれば良いでしょう。そう簡単には解雇出来ない程の額に設定すれば、いいかげんな理由をつけての不当な金銭解雇は事実上防ぐことが出来ます。

 先に労働者からの申立てだけを認めて法案を成立させようとの意見もあるようですが、労働者側は「ゆくゆく企業からの申立ても認めるようにするのではないか」と懸念しているようですし、政府や厚労省も後出しジャンケンのように後から企業の申立てを持ち出すようなことはせずに、最初から法案の完成形を示して議論すべきです。企業の解雇がしやすくなって経営がしやすくなることは、雇用市場全体で見れば雇用が増えるという労働者にとってのメリットもあるはずなので、そのメリットを示して正々堂々と議論すべきです。

 お金を払えば解雇出来るようになったとしても、そんなに解雇が急増するとは思えません。お金を払うことは企業にとっても大きなリスクですし、仮に意味のない解雇を乱発するような会社があれば、その横暴ぶりはネットで晒され、求職者が応募しなくなるでしょう。既に企業にとっては人手不足の時代に入っていますし、ネットでの評判は経営を左右するほどです。労働者から選ばれない会社は淘汰されていくだけです。

 また労働者側の意見として、「今ある労働審判やあっせんなどの制度を充実させていけば足りるのでわざわざ新しい制度を作る意味がない」というのがありましたが、具体的にどう充実させていくのかの案が見当たりませんでした。確かに、裁判と労働審判はほぼ弁護士さんに依頼しなければ利用出来ませんし、あっせんは一人で出来るが参加に強制力が無いなど、どれも不便があり、労働者に泣き寝入りをさせている原因になっています。これらの制度が労使にとって使いやすい制度になれば新法を作る必要は無いので、対案が示されることを期待します。

 という訳で私は現時点では金銭解決制度に大筋賛成なのですが、重要な法案ですので、厚労省はもっと論点を明確にして、密室で進めるのではなく我々国民を巻き込んだ議論が出来るようにして頂きたいと思います。

 

 

※この投稿はMIRAI相互創造推進協会のブログに掲載させて頂いたものです。

4月から社会保険の加入対象が中小企業にも拡大

カテゴリ: 社会保険労働保険    投稿日:2017.03.01

 

 平成29年4月1日から、労使合意がなされれば中小企業にも健康保険・厚生年金保険の加入対象が広がります。

 

 社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、平成28年10月1日より、正社員の4分の3以上働く人(一般的に週30時間以上)のみならず、下記の5要件を全て満たす短時間勤務の方へも対象が広がってきました。

 

①週の所定労働時間が20時間以上あること

②雇用期間が1年以上見込まれること

③賃金月額が8.8万円以上であること

④学生でないこと

⑤従業員数が501人以上であること

 

 4月1日からは、上記⑤の要件を満たさない「500人以下の会社」でも、労使の合意があれば社会保険に加入できるようになります。

 

 「労使の合意」とは、労働者側については、既に社会保険の対象になっている人とこれから対象になり得る人を合わせて2分の1以上の同意が必要ということです。

 

 この4月からの改正を使って、すぐに社会保険に加入させようという企業は少ないと思いますが、社会保険の適用範囲については「平成31年9月までにさらに検討を進める」と法律で決まっているため、将来的には労使の合意が必要なく義務化される可能性があり、今回の改正はそれに向けた”布石”であると言えると思います。

 

 特に短時間労働者を多く使っている中小企業にとってはかなりの負担増になるため、今後の法改正の動向に注目が必要です。

 

 

 

プレミアムフライデーで働き方は変わるか

カテゴリ: 労働時間    投稿日:2017.02.24

 今日、2月24日からプレミアムフライデーが始まりました。

 プレミアムフライデーとは、政府と経済界が連携して取り組む消費喚起策のことで、月末の金曜日の退社・退庁時刻を早め、働く人々が夕方から買い物や飲食、趣味、旅行などを楽しめるように促す全国的なキャンペーンのことをいいます。

 売上増が期待出来る小売店や飲食店、旅行会社、カルチャークラブなどは早速キャンペーンを打ち出すなどしています。

 

 このプレミアムフライデーは、消費喚起だけでなく、長時間労働の是正といった働き方改革にも繋がることが期待されています。

 既に一部の大企業では、午後3時終業を推奨するところが出てきていますし、プレミアムフライデーに使うために1万円を配るといった企業も出てきています。

 

一方で、

・仕事量が変わらないのに終業時刻だけ早めても、他の日にしわ寄せが行くだけ。

・人員に余裕が無い中小企業では絶対に無理

・小売・サービス業の労働者にとっては逆に地獄。忙しい日が増えるだけ。

 

といった声もあります。

 

 「仕事量が変わらないのに、他の日にしわ寄せが行くだけ」というのが一番重要なポイントだと思います。せっかくプレミアムフライデーを導入して月末の金曜日に早く帰れても、その分他の日に残業や休日出勤をしていたら何も変わりません。純粋に労働時間が短くならなければ導入した意味がありません。

 これは現在政府が推進している、残業時間の上限規制を始めとした働き方改革とも通じる話になります。プレミアムフライデーなど関係ないと考えている企業でも、長時間労働の是正に向けた行政からの圧力は今後ますます強くなると思われますので、「今までよりも短い時間で同じ仕事の成果を出す」「今までより少ない人員で同じ仕事量をこなす」こうした「労働生産性の向上」をどの企業も真剣に考えなければいけない時代になりつつあるのだと思います。

 諸外国と比べて労働生産性が悪いと言われている日本ですので、こういったキャンペーンも一つのきっかけとして、業務の効率化に取り組む企業が増え、労働生産性が向上していけば良いと思います。

 

 人手不足に悩む中小企業には絶対に無理という声もありますが、逆転の発想で、プレミアムフライデーを導入していることを求人の売りにしても良いと思います。今はまだ中小企業で導入しているところは少ないと思うので、良い意味で目立つと思いますし、求職者は給与だけでなく、勤務時間が自分に合っているかといった「働きやすさ」も会社選びの重要なポイントに上げています。柔軟な労働時間に取り組んでいることは、求職者の応募増にもプラスになると思われます。

 

 なお「小売業・サービス業の人にとっては地獄」というのは今に始まった話ではありません。

 今までは土日が絶対出勤だったのが、金土日になったとして、1週間の法定労働時間が増える訳ではないので、他の平日に余分に休みを取れば良いだけだと思います。私も小売業出身者なのでわかるのですが、そもそも小売サービス業に勤めている人は、他の人が休んでいる時に働くことを承知で入ってきてるので、そこに不平を感じてる人は少ないと思います。むしろ他の人が休めない平日に休めるというレア感に喜びを感じています。テーマパークに行ってもショッピングに行っても空いてるし「平日料金」でお得に遊べるというメリットを楽しんでいる人が多いと思います。

 

 様々な声が交錯する中で始まったプレミアムフライデーですが、企業にとってプラスになるところも多い制度だと思いますので、導入することに一考の余地はあると思います。今は一部の大企業と自治体だけが取り組み始めた印象ですが、そのうち定着し参加企業が増えていくことを期待しています。

清水富美加さん騒動から考える労働問題

カテゴリ: 時事    投稿日:2017.02.14

 

 女優の清水富美加さんが突然幸福の科学に出家し、芸能界を引退すると発表したことが大きな話題として報じられています。

 

 清水さんが芸能界を辞めて出家すること自体は本人の自由であり特に異論は聞かれませんが、その辞め方が突然すぎて、事務所との契約期間の途中でもあり、CM、レギュラー番組、映画など多くの仕事に多大な影響が出ることが、社会人として勝手すぎる、辞めるにしても迷惑を掛けない辞め方をしなければならないなどといった批判の声が多く上がっています。

 

 こうした報道を見ていると、私が労働相談でよく受ける「会社を辞めたいのに辞めさせてくれない」という相談を思い出します(清水さんは労働契約ではないので清水さんの場合とは別問題ですが)。

 

 数年前までは会社に解雇されたという相談が多かったのが、ここ2~3年はその逆パターンである「辞めさせてくれない」という相談が多くなってきた気がします。正直、とても多いです。

 

 法的には対応は意外と簡単で、退職の意思表示が人事権者に伝われば、雇用期間の定めのない契約の場合原則2週間後に雇用契約は解除されます。会社が承認したかどうかは関係ありません。よって「退職届を書いて渡してきてください。受け取ってもらえなくても目の前に置いて帰ってきてください」助言としてはこれだけです。

 

 しかし相談に来る労働者の方にとっては、そんな簡単な話ではありません。辞めさせないという会社の場合、多くは辞めさせないためにあらゆる手段を取ってきます。「お前が急に辞めることで損害が生じるから損害賠償を請求する」とか「お前の家族に会いにいく」などの脅し文句だとか、18時の終業時刻に退職したいと伝えたらその後夜中の3時まで社内に拘束されて飲まず食わずで説得されたとか、これらは実際にあった話です。そうなると退職を伝えることが怖くなって、結局会社に残ってしまう。しかし辞めたいと思っている人は、パワハラだったり長時間労働だったり人間関係に何らかの問題があって辞めたがっている人が多いので、我慢をして続けていると徐々にストレスが蓄積されてうつや精神病に陥ってしまう。こうなるともう手遅れで、辞めた後に再就職も出来ずに人生が大きく狂ってしまいます。

 

 私は、本当に相談者の人が追い込まれていれば、退職届を書留で送りつけるといったアドバイスをすることもあります。有休がもし残っていれば残期間は全て有休消化にしてしまえば、もう出社することなく辞めていくことだって出来ます。社会人として良くないことはわかっています。本当はちゃんと最後に目を見て「お世話になりました」と挨拶して辞めていくべきでしょう。でも「もう怖いんです。社長と二人きりになると動悸が激しくなって震えてしまうんです」と目の前で号泣している人に、「手順をちゃんと踏みましょう」などととても言えません。

 

 そもそも労働者の人がこんなに追い詰められる程に、社内で何があったのでしょう? そしてこれほど辞めたがっている人を無理矢理残しておいて、本当に大丈夫なのでしょうか? 毎日毎日憂鬱な表情で仕事をされて、職場の士気にも影響するのではないでしょうか? 経営側の視点から見ると、辞めたがっている人を残しておくことは何のメリットもなく、リスクしかありません。そういったことも考えられないなら、労働者から相談を受ける側としてはもう一方的な手段を取るしかないんじゃないかと思ってしまいます。

 

 「労働者がウソを言ってるかもしれないじゃないか」 そうかもしれません。本当はそこまで追い込まれておらず、ただラクして辞める方法を探しているだけかもしれません。でも、もしそういう人だったら、その人はこれからの人生ずっと苦労していくことになるでしょう。入る会社入る会社、ちょっとでも不満があればラクで一方的な辞め方を続けていって、気付いたら自分に何も残らずいい歳になってしまった…ということになるでしょう。その人生の苦労は、その人自身が背負っていくべき責任です。

 

 清水さんも「意に反する仕事を強要されてギリギリの精神状態だった」とも言われています。真実はどうなのかわかりませんが、時には社会のルールや手順よりも優先される、人命や健康というものがあるのではないかと思います。

 

 

※この投稿はMIRAI相互創造推進協会のブログに掲載させて頂いたものです。

 

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