14日に東名阪自動車道で発生した観光バスとダンプカーの衝突事故で、バスの運転手が11日連続勤務中だったことと、バス運行会社の担当者が「法的には問題ない」とコメントしたことがニュースに取り上げられ、ネットを中心に批判が起こっています。

 

 労働基準法では、原則として週に1日以上は休日を与えることと定められています。ただし、休日労働に関する労使協定を締結し、その協定の範囲内での労働であり、かつ法定の休日労働手当が払われていれば違法とはなりません。極端な話これらが守られていれば、1か月間休みなしでずっと働くことも可能になります。

 

 さて、バスの運転手については、不規則で長時間勤務になりがちなことと、疲労が大きな事故に繋がる可能性があることを鑑み、その労働条件の改善を図るために厚労省が「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」という告示を策定しています。ここでは労基法より更に一歩進めて、「拘束時間」の限度や運転時間の限度などを定めています。この告示の中で「休日労働は2週間に1回が限度である」と定められています。

 すなわち一般の事業所のように1か月間休みなしというのは出来ず、最高でも13日連続勤務が上限だということになります。

 

 ニュースを見る限りでは、11日連続勤務というのは告示の限度の範囲内ですし、その他も「法的に問題ない」と言っているということは、労基法も告示も守られているのかもしれません。

 それでも・・・、国民感情からすると、何か腑に落ちないですよね。

 

 そもそも労働基準法での休日の規定は、「週に1日以上」というのが大原則なのです。それの”例外措置”として、労使協定等の条件をクリアすれば休日労働させても違法性が阻却される、というのが法律の考え方です。堂々と大手を振って「法律を守れているんだ」と言っていい話ではないと思います。

 恐らくこれが「法令順守に努めていたが、人員不足によりやむを得ず休日勤務をしてもらい、結果的に11連勤になってしまった。告示の範囲内だから良しではなく、申し訳なかった」というコメントなら、だいぶ印象は違っていたような気がします。そうでなかったということは、「守れてさえいればいいんでしょ」と、運転手の疲労に思いを至らせる考えが普段から無かったと言われても仕方ないと思います。

 

 事業活動をしている限り、事故やトラブルは常に起こる可能性があり、企業規模の大小を問わずネット社会では常に吊るし上げの対象となる危険性と隣り合せです。問題が起きたときは「最初の対応」がもっとも重要であり、その後の企業イメージを決定してしまいます。トラブルは起きるものだという前提のもと、起きたときにどう対応するか、企業の「姿勢」というのをいつも頭に入れておくことが必要かと思います。

 

 

 

札幌の社労士(社会保険労務士)のブログ

 


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