電車内で痴漢をしたとして起訴され、罰金20万円の略式命令を受けた東京メトロの社員の男性が、会社から解雇されたのは不当だと訴えた訴訟の判決があり、東京地裁が解雇無効とする判決を下しました。「行為の具体的状況から悪質性は低く、解雇は重すぎる」「起訴だけを基準にして、悪質性や過去の処分歴などを考慮しないのは手続としても問題がある」と述べているとのことです。
就業規則上で、刑事事件の起訴を受けた者あるいや有罪判決を受けた者を懲戒処分の対象にしている会社は多いと思います。しかしながら今回の判決は、ただそれだけを持って懲戒が判断されるのではなく、具体的中身を検討しなければならないということを言っているのだと思います。
これは当然のことで、普通は就業規則でも「刑事事件、即懲戒解雇」とされている訳ではなく、その態様や情状によって訓告・減給・出勤停止なども裁量で選べるようにしている所が多いでしょう。さらに本人の弁明も聞いた上で、本当に解雇が適切なのか、どの程度の処分が妥当なのかを判断すべきなのだろうと思います(冤罪で覆る可能性もある訳ですから)。
しかしそうだとしても本事件は、犯行を行ったのが「電車の駅員」という本来痴漢を防ぐ立場にある者である訳ですから、民事(雇用関係)においても通常人より厳しく罰せられるべきではないでしょうか。