石川県金沢市で平成23年、大手英会話教室の講師だった女性(当時22歳)が自殺したのは、長時間の「持ち帰り残業」による過労が原因だったとして、その両親が勤務先の「アミティー」(岡山市)に約9100万円の損害賠償を求め提訴したとのニュースがありました。
訴状によると、自宅での教材カード作成など、大量の持ち帰り残業を強いられ、自殺前2カ月間の時間外労働は月平均114時間に上っていたとのことです。
なお女性は入社してわずか3ヶ月後のことだったようです。また、既に昨年、労働基準監督署が労災認定をしているそうです。
入社してすぐの自殺というとワタミを思い出しますね。
たとえ自宅での業務といえど、会社の指示によるものであれば、当然労働になります。それが積み重なっていけば、当然疲労が蓄積し健康被害を生じさせます。会社には労働者の安全を守る義務があるので、それを怠れば損害賠償ということになります。
しかし実際には、自宅での労働は労働時間の証拠が残りにくいので、労働者が泣き寝入りしているケースも多いのではないかと思います。
もちろん労働時間の証拠が残りにくいというのは会社も同じです。そんなに働いていないとしてもその証拠を残しにくい訳ですから。(もちろんこの事件は実際に働いていたのでしょうが)
家で仕事をするというのは難しい問題もいくつか孕んでいます。近年労働力不足解消の一手として、育児や介護と両立しやすい「在宅勤務」が推奨されています。個人的にも在宅勤務を含め多様な働き方の推進には賛成ですが、労働時間の把握というのが一つの課題となっています。
基本的には在宅勤務といえど残業は原則させない、残業せざるを得ない場合は許可申請させるということを徹底しなければいけません。
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