リクルートホールディングスが、10月に全社員を対象とした在宅勤務制度の導入を検討していることが分かりました。多様な働き方を推進し、業務効率を上げるのが狙いとみられています。

 今まで育児や介護など理由がある場合に認めていた在宅勤務を、無条件で全社員に広げるのが特徴。約2000人が対象になる見込みとのことです。

 

 リクルートHDの在宅勤務導入が話題になっています。全社員に対し、上限なく理由を問わず導入というのは、異例です。

 確かにこれだけスマホやネットが発達した時代、職種によるでしょうが、会社に朝から晩までいなくても十分仕事をすることは出来るでしょう。

 もちろんここでいう「在宅勤務」とは、字のごとく家の中で働くという意味でなく、会社に朝から晩まで拘束されないで働くという意味なので、自宅に限らずどこで仕事をしても良い訳です。

 例えば子供が急に熱が出たというときに、これまでなら会社を休んで看病しなきゃいけなかったのが、家で看病しながらスマホ等を使って社内会議に参加したり、資料を作成したり。取引先と打合せが必要になったら家から直接向い、終わったら家に直帰する。育児や親の介護などを抱える人にとっては非常に助かる働き方ですし、企業としても能力はあるのに働き方に制限があるという人材を雇用することができ、人手不足の時代に対応出来る仕組みだと思います。

 

 在宅勤務はこのようにメリットが多いですが、導入にあたってクリアすべき問題もあります。それは「労働時間の管理」です。労働者である以上、時間に対して給与を計算する訳ですから労働時間の把握は不可避。例え完全歩合制でやるにしても、最低賃金をクリアしているかの計算や、時間外手当を計算するときに、労働時間をわかっていないと計算出来ません。また、労働者が働き過ぎていないかを企業がチェックする「安全配慮義務」を果たすためにも労働時間を企業が把握することは必要です。

 しかし企業が完全に労働時間を把握することはなかなか難しいです。例えば夜に2時間残業をしたとしましょう。しかし勤務時間の途中で2時間私用を済ませたとすると、本来ならプラスマイナスゼロで残業にはなりません。しかし2時間の私用を従業員がちゃんと報告しないと、ただ残業したことになり残業代を払わなければなりません。

 リクルートHDでは、他の記事を見るとそこは「性善説」でやっているとのこと。「普段何をしててもいいけど結果は出してね、という仕組みなので、サボろうという考えは起きない」とのこと。とはいえ残業の報告が上がってきたら企業としては払わざるを得ず、悪意のある従業員に悪用されないかとの不安は残ります。

 

 しかしその不安も、歩合制を大胆に使うことである程度抑えられるのではないかと思います。サボっている人は、それなりの結果しか出せません。残業代の損失を上回るような大きな歩合給を、人事評価制度により支払うように設計すれば、デメリットを上回るメリットが得られるのではないかと思います。

 

 何より「働く意欲も能力も十分あるのに、勤務時間に制限があるというだけで社会から弾き出されている人材」を獲得出来るチャンスです。

 人事評価制度による歩合給の設計などは、中小企業は社労士に任せて頂ければ結構です。優秀な人材を雇用できる可能性のある在宅勤務制度を導入出来ないか、検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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