厚生労働省より、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果というものが公表されました。

 これによると、4月から6月に監督指導を行った2,362事業場のうち、約63%に当たる1,479事業場で違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行ったとのことです。

 この監督指導は、長時間労働削減推進本部(本部長:塩崎恭久厚生労働大臣)の指示の下、今年1月から労働基準監督署が実施しているもので、1か月当たり100時間を超える残業が行われたとされる事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があったすべての事業場を対象としています。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000098487.html

 

 このページの中で「監督指導事例」というPDFへのリンクがあります。

 

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/0000098604.pdf

 

 これを見ると、ほとんどが36協定で定めた労働時間の上限を超えて労働させていたことへの指導となっています。その他、そもそも36協定を結んでいなかった、割増賃金の未払いも見受けられます。

 

 過去の記事でも取り上げましたが、今年から長時間労働の監督を国が強化しており、是正勧告に従わない場合には書類送検もされております。その容疑は36協定に違反した労働ということです。36協定で定められる月の時間外労働の上限は、原則45時間。ただし「特別条項」を入れることで、年6回を超えない範囲で45時間を超える協定を結ぶことも可能です。45時間を超えてどこまで結べるかというと、それは特に決められていないので何時間でも労使が合意すれば締結できます。ただし過労死基準と言われる100時間を超える協定を届け出ると、当然「この事業場はずいぶん長いな」と目をつけられるので、こういった監督指導の対象になる可能性が高まるという訳です。

 

 実際この厚労省のサイトを見ても「1か月当たり100時間を超える残業が行われたとされる事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があったすべての事業場を対象としています」と書いてあるので、36協定に書いてある時間を見て指導に入ったのだと思われます。

 

 こうした国の動向を見ると、違法な時間外労働が行われている事業場は早急な改善が望まれます。

 

 

 

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