先月の政府の働き方改革実現会議で、残業時間の上限規制がまとまりました。今後詳細な制度設計がされ、早ければ来年の通常国会にて審議されるスケジュールになると思われます。

 連合と経団連の激しい交渉の末、最後は安倍総理の裁定を経てまとまったことから、基本的にはこの内容のまま進むと思われますが、とても複雑な内容になっています。報道された情報を基に、残業時間の上限規制案について、まとめてみました。

 

[原則] 労働時間は1日8時間、1週40時間を超えてはならない(法定労働時間)

[例外1] 変形労働時間制、裁量労働制、みなし時間外労働、管理監督者、週44時間の特例事業所等

[例外2] 「36協定届」を締結することにより、月45時間、年360時間までの残業が出来る

[例外3] 36協定に「忙しい時期の上限」を定めた特別条項を入れることで、年6回までは月45時間を超えられる。ただし年720時間以内に収めること。(法定休日労働はこれとは別にカウント出来る)

[例外4] 36協定に「特に忙しい時期の上限」として「2~6ヶ月の平均でいずれも月80時間以内」になるような上限を設定することが出来る。(法定休日労働時間を含めて)

[例外5] 36協定に「極めて忙しい時期の上限」として「月100時間未満」になるような上限を設定することが出来る。(法定休日労働時間を含めて)

 

  [例外1]は現在もあり、[例外2]は「大臣告示」という形で存在します。例外2を超える上限設定は、36協定の特別条項を使えば、無制限に設定することが出来ます。それを、[例外2]も含めて全て「罰則付きの法律」という形にしようというのが今回の規制案です。

 

 これが全体像ですが、何とも複雑な制度に仕上がったものです。

 これほど複雑な法律が中小企業含め事業者にきちんと理解されると、偉い方々は本気で思っているのでしょうか。ルールというのは極めてシンプルでないと守られません。これだけ複雑な制度設計をしておいて、「悪意」でなく「ミス」による違反者に対しても罰則を科していこうというのは理解に苦しみます。

 

 そうとはいえ事業者としては、決まった以上中身を理解して経営していかなければなりません。こんなときこそ社労士を使い、頼って頂きたいと思います。

 


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