厚生労働省が21日に発表した就労条件総合調査によると、昨年の正社員の年次有給休暇の取得率は前年比2.2ポイント低下の47.1%となったことがわかりました。3年ぶりの低下で、政府が掲げる「2020年までに有休取得率70%」の目標には程遠い状況です。(与えられた日数は平均18.3日で、労働者が取得したのは平均8.6日)

 

 普段、中小企業(その中でもとりわけ少ない、社員数名の零細企業)の経営者の相談を聞いていると、年次有給休暇は本当に頭が痛いとおっしゃいます。別にイジワルがしたくて拒んでるんじゃないと。一人でも欠けるとその日の営業が出来なくなるくらい、一人一人の戦力が大きいんだと言います。結果、「ウチには有休はない」と言って社員の目を欺く、或いは取らせないような圧力をかけるなどの違法行為が起こってしまいます。

 

 一方で有休は労働基準法という強行法規で決められた、労働者の「当然の権利」であることも事実です。取らせないでおくと、退職時にまとめて40日分とか請求するなんてことも起き得ます。退職の申し出が1か月前までなら、退職届を出した翌日から全て有休ということも可能です。

 

 有休は、本来労働者が取得する権利を行使して、はじめて与える義務が発生するものですが、このように溜まってしまうことを防ぐため、「計画年休」制度を設けて消化させているところもあります。(各人の持ち分のうち、5日を超える日数を、労使協定により日にちを指定して消化させる制度)

 

 提案ですが、社員10人未満の会社は、多少付与日数を少なくするような法改正は出来ないものでしょうか。社員が何千人何万人といる大企業と、1人休むと操業が吹き飛ぶような零細企業が、全く同じ日数というのは、ある意味公平ではありません。ゼロにしろとは言いません。2割ほど少なくするくらいでも良いと思います。もっとも人を採用する際にはその旨を十分説明し、労働者も十分に承知の上で入社しなければなりません。

 その代わり請求されたのに与えないなどの法違反があれば、罰則を強化すれば良いと思います。有休の取得率としては上がるのではないでしょうか。

 

 実体として取得率が上がらないなら、上がらない理由をちゃんと調査して、対策を考えなければなりません。「ワークライフバランス」と笛を吹くだけでなく、知恵を出し合い、お互いにちょっとずつ妥協して、双方とも今より「ベター」(ベストは無理でも)な働き方になりたいものです。

 

 


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