職業安定法の改正により、平成30年1月1日より、ハローワークや自社ホームページで求人広告を掲載する際、時間外労働の有無にかかわらず一定の手当を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)をその求職者に適用する場合は、以下の情報を明示することが必要になります。
(1)固定残業代の計算方法(固定残業代の算定の基礎として設定する「労働時間数」および「金額」)
(2)固定残業代を除外した基本給の額
(3)固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うことの明示
具体的には、求人票や自社サイトに以下のような表記をすることになります。
①基本給 ××円(②の手当を除く額)
②固定残業手当(時間外労働の有無に関わらず、〇時間分の時間外手当として△△円を支給)
③〇時間分を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
固定残業代は、当初の労働条件明示にあたってその存在が隠されている場合があり、「聞いてた話と違う!」といった求人トラブルが多いと言われていたため、今回の改正となりました。
※なおこの度の法改正では、求人雑誌や求人サイトなど「募集内容を求職者に『提供』するだけ」の媒体上では、固定残業代について上記のような明記は義務付けられませんでした。
固定残業手当は、それが残業を支払ったものとみなされる条件が裁判上も年々厳しくなってきましたし、今年7月には厚生労働省から「時間外労働等の時間数又は金額を書面等で明示」せずに固定残業代を運用していることを発見したら是正勧告の対象になるという通達も出ました。職業安定法の改正と合わせ、労働者にわからないように「コッソリ」入れておいて争いになったら「実は払ってましたよ」と後出しで主張するのは、ほぼ無理になってきたと考えた方が良いでしょう。
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