今回は取得したマイナンバーを使うときの流れをご説明しますが、自社で税や社会保険の手続を行う場合と、税理士・社労士に委託する場合で分けて考えます。

 

自社で利用する場合

 従業員から入手したマイナンバーを使って書類を作成することを、マイナンバー法の用語で「利用」といい、書類を役所に提出することを「提供」といいます。マイナンバーはあらかじめ従業員に目的を明示した、税と社会保険の決められた手続のためにしか利用できません。

 利用が終わった番号は、雇用が継続している従業員なら翌年度以降も継続的に利用する機会があるため、保管しておくことが出来ます。手続発生の都度取得する必要はありません。ただし保管は番号の漏えいがないよう、厳重に行わなければなりません(詳しくは「安全管理」の章で説明します)。

 退職した従業員のマイナンバーは、各書類の所管法令で定められている保存期間を過ぎた後に、速やかに廃棄・削除します。例えば扶養控除申告書は法令により7年間保存することとなっていますので、7年が過ぎたら出来るだけ早く、紙媒体であればシュレッダー等で、データなら復元できないよう削除します。

 

税理士・社労士に委託する場合

 この場合は利用時や提供時に番号が漏えいすることはないのでリスクは減ります。ただし、事業主には、委託先が安全管理措置を講じているかを“必要かつ適切に監督”する義務があるとされています。

 必要かつ適切な監督とは、①委託先の適切な選定、②委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約の締結、③委託先における、ナンバーを含んだ書類(特定個人情報といいます)の取扱状況の把握 の3点です。

 ②の「必要な契約の締結」においては、契約内容として「秘密保持義務、事業所内からの特定個人情報の持出しの禁止、目的外利用の禁止、再委託における条件、漏えいが発生した場合の委託先の責任、委託契約終了後の返却又は廃棄、従業者に対する監督・教育、契約内容の遵守状況について報告を求める規定」等を盛り込むものとされています。また、これらの契約内容のほか、特定個人情報を取り扱う従業者の明確化、委託者が委託先を実地調査出来る規定等を盛り込むことが望ましいとされています。

 

※当事務所の顧問先様には、これらの内容を盛り込んだ委託契約書をご用意しますので、10月までに随時締結させて頂きたいと思います。

 

再委託について

 委託を受けた税理士や社労士が、更にその業務を第三者に委託することを「再委託」といいます。再委託は、最初の委託者(すなわち企業)が許諾した場合にのみ、可能となります。

 あまり関係ないと思われるかもしれませんが、委託先が事務を行うにあたりいわゆるクラウドサービスを利用している場合は、特定個人情報をクラウドサービス事業者のサーバーに保管すると「再委託」に該当する可能性が出てきます。よって委託契約の締結に際しては、委託先がクラウドサービスを利用しているかどうかを確認し、している場合は再委託の許諾を含む契約内容となっていることが必要です。

 

 

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