今年は中小企業の新卒採用にとって受難の年となっています。今年から広報活動の解禁が3年生の3月1日、選考開始が4年生の8月1日からになったからです。これは過熱する就職活動について行けない学生が少なくないことを憂慮した政府が、日本経済団体連合会(経団連)に要請して就職活動を後ろ倒しにしたため、従来の「大手を先に受け、ダメだったら中小」というパターンが崩れて大手と中小の採用活動が重なったからです。

 従って内定を出したとしても、その学生がそれで就活を終えるとは限らず、天秤にかけてる他社の動向によっては内定辞退をしてくる可能性があるのです。

 

 大手なら多少辞退者が出ようが痛くないでしょうが(そもそも中小に比べそんなに辞退者が出ないし)、資金力のない中小はまた一から探すとなると膨大な採用経費をかけなきゃいけないし、秋→冬にずれ込むなんてことも考えられ、来年度の人員計画が組めずに大変なことになります。

 そこで「もう就活を終わりなさい」と内定者にプレッシャーをかける、いわゆるオワハラ(就活終われハラスメント)という言葉が急に流行りだしています。

 

 世間的には、オワハラを悪いことだという声が多く(ハラスメントといってるくらいですから…)、学生の職業選択の自由を侵しているなどという論調もあります。

 

 しかし一方的に企業だけを悪者にしていいのでしょうか?

 

 雇用契約も契約の一部です。学生から契約締結の申し出があり、企業が応じて締結に至った。その後学生が一方的に破棄する。これっておかしくないですか。

 学生にとって、より良い企業に入りたいと思うのは仕方ないことだし、二股・三股をかけながら就職活動を続けるのを悪いとは言いません。万が一全部ポシャったら大変ですからね。でも中小企業にとっても予定していた人が一人採用出来なくなってしまったというのは、学生さんが思う以上にとても大変なことなんです。

 

 もちろん過度なオワハラは良くないでしょう。しかし企業にも法的に「採用の自由」があります。「他社を断ることを内定を出す条件にする」こと自体は違法ではありません。契約の世界です。学生側も、これは契約という取引行為をしているんだという意識を持って、学生という身分に甘えず、どうしても辞退せざるを得ないときは必ずきちんと礼を尽くしてください。マスメディアにおいても企業だけを「一方的に」悪く書く論調を改めて頂きたいと思います。

 

 

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