事務所代表 熊谷綜合労務事務所  代表 熊谷知直

熊谷綜合労務事務所 代表
特定社会保険労務士
熊谷 知直

メディア掲載

○労働ADRの取材記事が

北海道新聞に掲載されました

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札幌の社会保険労務士事務所 熊谷綜合労務事務所のブログ

副業を認めるときの注意点

カテゴリ: 労働時間    投稿日:2017.12.28

 厚生労働省が先日、各事業所が就業規則を作成しやすいように公表している「モデル就業規則」のひな型を変更し、副業を原則認めるような内容にする方針だと報道されました。

 11月20日に開かれた有識者検討会で、モデル就業規則の改定案を公表。「許可なく他の会社等の業務に従事しない」との項目を削り、「勤務時間外に他の会社等の業務に従事できる」「事前に所定の届け出をする」といった内容に差し替える案が示されました。

 もちろん副業を認めるかどうかは各企業が決めることで、厚労省に言われる筋合いではないのですが、この「モデル就業規則」をひな型に就業規則を作成する事業所が特に中小企業では多いのに加え、売り手市場を背景に求職者の発言権が強まっていることから、副業を認める企業は増加していくことが予想されます。

 

 そこで従業員に副業を認めるときの注意点を、人事労務面から3つ挙げてみます。

 

①割増残業はどちらが払う?

 労働基準法では原則1日8時間を超えた労働に対し、25%以上の割増賃金の支払いを求めています。これは副業している人も同じで、本業と副業を合わせて8時間を超えたら、超えた時間が割増賃金の対象になります。

 それぞれの事業所では8時間以内におさまっていても、合わせて8時間を超えていれば割増賃金が発生するのです。

 この場合、原則「時間的に後から労働契約を結んだ事業所が、割増賃金を支払う」ルールになっています。

 後から結んだ事業所は、その労働者が他で勤務していることを普通はわかった上で雇用するであろうからという考えだと思います。よって企業としては人を雇用するときは、「現在、他で働いているところはありませんよね?」と一言確認することがベターです。

 

②雇用保険はどちらで加入?

 雇用保険は複数の事業所で同時加入することが出来ず、「主たる事業所(原則、労働時間の長い方)」1箇所で加入することになっています。

 なお雇用保険は「週20時間以上」の労働時間であることという加入要件があるため、2つの事業所がいずれも週20時間未満だった場合、どちらの事業所でも加入できないことになります。たとえ2つ合わせて20時間以上になっていたとしても、あくまで一つの事業所(主たる事業所)で20時間以上になっていなければ加入できません。

 

③社会保険はどちらで加入?

 社会保険(健康保険・厚生年金保険)は雇用保険と違い、複数の事業所から報酬を得ている場合は「二以上事業勤務届」という書類で各事業所の名前と報酬額を届出し、それぞれの事業所から支払われる報酬を合算して保険料が計算されます。 

 社会保険の加入基準は、中小企業の場合は「勤務時間が正社員の4分の3以上であること」です。週30時間くらいとお考え下さい。週30時間以上の勤務を2社以上ですることはなかなか考えにくいので、社会保険が二以上事業勤務になるケースは少ないのですが、どちらか一方の企業が「役員」である場合は二以上に該当する可能性が出てきます。

 またどちらか一方の企業が大企業の場合、週20時間以上でも社会保険の対象になる場合がありますので、二以上に該当する可能性も十分出てきます。

 

※健康保険が協会けんぽでなく、「健康保険組合」が絡んでくる場合は、組合により扱いが異なる場合があります。

 

 このように副業社員が出てくると各企業の労務管理は難しくなります。こうした事情も踏まえ、副業を認めるかどうか決めるのが良いでしょう。

 

 

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