来年4月から、年次有給休暇の年5日取得義務化がスタートしますが、実務上疑問になっていたケースにつきQ&A方式で解説しているパンフレットが厚生労働省から出ました。
年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf
一例を挙げますと、
Q 年次有給休暇の取得を労働者本人が希望せず、使用者が時季指定を行っても休むことを拒否した場合には、使用者側の責任はどこまで問われるのでしょうか?
A 使用者が時季指定をしたにもかかわらず、労働者がこれに従わず、自らの判断で出勤し、使用者がその労働を受領した場合には、年次有給休暇を取得したことにならないため、法違反を問われることになります。
※よくある質問です。仕事熱心な社員の場合あり得ることですが、社員の意思に関係なく取らせる必要があるのですね。
Q 4月1日に入社した新入社員について、法定どおり入社日から6か月経過後の10月1日に年休を付与するのではなく、入社日に10日以上の年次有給休暇を付与し、以降は年度単位で管理しています。このような場合、基準日はいつになりますか?
A この場合、4月1日が基準日となります。
※年5日の取得義務が発生する起算点は、「その社員が10日間の年休権利を取得することとなった日」です。ここでいう「取得することとなった日」は、法定の発生日ではなく、会社によって「基準日方式(法定の発生日より前倒しして全員毎年同じ日に与えているやり方)」を取っている場合は、その基準日の方を見るということです。これは意外な落とし穴ですので、基準日方式を取っている会社は要注意です。
Q パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者であって、1年以内に付与される年次有給休暇の日数が10日未満の者について、前年度から繰り越した日数を含めると10日以上となっている場合、年5日確実に取得させる義務の対象となるのでしょうか?
A 対象とはなりません。前年度から繰り越した年次有給休暇の日数は含まず、当年度に付与される法定の年次有給休暇の日数が10日以上である労働者が義務の対象となります。
※ まず、年5日取得義務の対象となる人は正社員に限られません。比例付与の対象となるパート社員でも、法定の付与日が「10日」以上ある人は対象になります。ただし、その「10日」には、前年からの繰越し日数は含まれないということです。
Q 使用者が年次有給休暇の時季を指定する場合に、半日単位年休とすることは差し支えありませんか。また、労働者が自ら半日単位の年次有給休暇を取得した場合には、その日数分を使用者が時季を指定すべき年5日の年次有給休暇から控除することができますか?
A 時季指定に当たって、労働者の意見を聴いた際に、半日単位での年次有給休暇の取得の希望があった場合には、半日(0.5日)単位で取得することとして差し支えありません。また、労働者自ら半日単位の年次有給休暇を取得した場合には、取得1回につき0.5日として、使用者が時季を指定すべき年5日の年次有給休暇から控除することができます。(なお、時間単位の年次有給休暇については、使用者による時季指定の対象とはならず、労働者が自ら取得した場合にも、その時間分を5日から控除することはできません。)
※ 労働者の希望があった場合には半日年休の付与でも良い。ただし「時間単位年休」は、労働者が希望しても「年5日取得義務」の対象日数に入れることは出来ないということですね。
このような疑問に対する回答が載っています。
細かな運用ルールについて疑問が多かったこの制度ですが、おおむね回答が載っていると思います。実務担当者の方はこのパンフを携行しておくことをお勧めします。
☆今年1年大変お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。