現在社労士事務所は、労働保険の年度更新と算定基礎届の手続期間中で、繁忙期です。弊所は年度更新は終わりましたが、算定基礎届手続の真っ最中で、4月に入った社員も頑張ってくれています。

手続の風景はここ数年で大きく変わり、以前は紙の届出用紙でしたが、今はほとんど電子申請でやっています。

政府は、来年4月から、大企業に限り一部の社会保険・雇用保険手続の電子申請義務化をスタートさせる予定でいます。

恐らくこの波は、近い将来中小企業にも及んでくるでしょう。

政府が電子申請を進めようとする理由のひとつに、働き方改革もあります。長時間労働の削減、ワークライフバランスの実現には、企業の事務負担軽減も必要になってくるからです。

これは基本的には良い流れだと思います。しかし実際に手続代行をしている立場からすると、細かな部分で負担が逆に増える場面が多々あります。

例えば、ちょうど今算定基礎届の時期なのですが、紙で手続をしていた頃は「現在の被保険者の情報一覧」が印字されたものが送られてきていました。1年に1回、その用紙を確認することで標準報酬月額などの情報を確認するという役割もあったのですが、電子申請を始めると送付が省略されます。

送付を省略するのであれば、e-govの中で情報を取得できるようにすれば良いのですが、そういう仕組みも作ってくれません(私は毎年のように要望を出しているのですが…)。

他の手続で1回でも電子申請を利用した企業には、算定基礎届の紙の送付を自動的に省くなど、電子申請化を強引に進めているところが国にはありますが、負担軽減という本来の目的を見失い「電子申請を進めること」自体が目的化しないようにして頂きたいと思っています。