政府が「異次元の少子化対策」の財源確保策として社会保険料への上乗せで国民1人当たり月500円程度の負担増を検討していると報道があり、労使双方から反発の声が上がっています。
社会保険料は給与天引きなので、取りやすい所から取るということなのでしょうが、政府は根本的に間違えていると思います。
社会保険は「保険」だというところです。
保険というのは、万が一の保険事故に備えて加入者が掛金を払っておく仕組みです。健康保険であればケガや病気で多大な医療費がかかってしまうことや、収入が減ることが保険事故です。厚生年金保険は、高齢になり給与収入が無くなり老後の生活が苦しくなることが保険事故という訳です。それに備えて加入者が、日頃から掛金を支払っているのです。
少子化対策は、何が保険事故になるのでしょうか? 少子化対策をしないと支え手が少なくなり年金収入が減る可能性があることが保険事故だと言うのかもしれませんが、ちょっと苦しい説明です。それでしたら社会保険加入の会社員だけでなく、自営業や無職、主婦など全ての国民があり得る保険事故なので、会社員だけに負担させる理由にはなりません。少子化対策は保険というよりも、税金を財源にして国民全体で負担するのが、考え方としては適切です。
現在も「子ども子育て拠出金」といって事業主のみが負担して社会保険料から拠出している財源がありますが、今回報道されている案では会社員個人の負担もあるという意味で、より保険事故との明確な因果関係が説明できなければ、制度として成立しないと思います。