神奈川県弁護士会の会長が厚生年金の加入漏れを年金事務所に指摘された問題に絡み、日本弁護士連合会(日弁連)の荒中(あら・ただし)会長も年金事務所から加入を求められ、昨年12月に手続きをしていたことが27日、日弁連への取材で分かった。  日弁連によると、会長と副会長らが厚生年金に加入していないことが産経新聞の報道で判明した昨年8月以降、地元の年金事務所が日弁連を調査。月々の報酬がある会長1人と副会長15人のうち、荒会長については加入が必要と判断されたため、就任した昨年4月にさかのぼった形で12月中に加入手続きをしたという。  法律事務所に所属する弁護士は、多くが自営業者として国民年金基金に加入。法人から報酬を受け取ることになれば、国民年金基金を脱退して厚生年金に切り替える必要が生じる。ただ、厚生年金の加入条件は「使用されるもの」となっており、日弁連内ではこれまで会長は該当しないと考えてきたとみられる。

(産経新聞より)

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少々驚きのニュースですが、記事を読む限り、会長には当然に社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入義務があるものと思われます。

社会保険に加入しなければならない「強制適用事業所」は、以下のとおりです。

 

・法人の事業所

・従業員を常時5人以上雇用する個人の事業所(一部の適用除外業種を除く)

 

日弁連は「弁護士法に基づいて設立された法人」(日弁連ホームページより)とのことなので、日弁連自体は強制適用事業所になります。

次に、会長や副会長はこの法人の役員だと思われますので、「法人の役員は社会保険の加入義務があるのか」という問題になります。

役員の加入義務についてはよくお問合せを受けるのですが、実は役員も「その法人に使われている」という考え方から、原則社会保険の加入義務があるのです。

但し非常勤役員であれば、非加入と言う扱いになっています。

常勤か非常勤かは業務の実態を見て判断されるため、明確な線引きが難しいところがありますが、一般的には「法人の業務執行権を有しているか」「役員会の出席」「役員報酬が妥当な額か」等を判断基準として見られます。

特に「役員報酬が妥当か」は重要で、非常勤であると主張しても役員報酬が高額であれば、常勤性があると判断されることもあります。

 

なお役員の中でも代表取締役は、報酬を少しでも受け取っていれば、常勤との判断になり社会保険加入となります。

(法人の代表者が社会保険に入らなくて良いのは報酬がゼロの場合のみです。たとえ別の事業所で既に社会保険に加入していても、当該事業所で加入し「二以上事業所勤務届」を出さなければなりません)

 

記事によると会長のみ加入と判断され、副会長は非加入となったようです。

会長は報酬をもらっているので無条件で加入。副会長は報酬を受け取っているが勤務実態からして非常勤であると判断されたのでしょう。

 

企業の規模を問わず、全ての法人に同じことが言えますので、役員の社会保険については慎重な扱いが求められます。