働き方改革関連法成立に伴い、厚生労働省が新たに公開した36協定の記入例に記載されている残業時間が、過労死基準に近い時間であるため長時間労働を助長しかねないとして、過労死遺族らが近く厚生労働省に抗議することが報道されました。
https://www.asahi.com/articles/ASM7J5G03M7JPIHB01S.html
厚生労働省が公開している36協定の記入例はこちらです。(特別条項のページのみ)
これを見るとたしかに、1ヶ月の残業時間の限度が法律では100時間未満のところを、90時間と書かれています。
1年間の残業時間の限度も、720時間以内のところ700時間と書かれており、法律の上限に近い数字で例示されていることがわかります。
厚生労働省をフォローする訳ではないのですが、実務をやっている人間からすると、36協定で締結する残業時間を少しでも超えたら違法となるため、念のため上限時間ギリギリいっぱいで設定することが多いです。
一度決めてしまうと、翌年度以降は何も考えず自動的に同じ時間で締結する所が多いのではないでしょうか。
そうして限度時間ギリギリで出される36協定が多いので、厚生労働省もリアリティある記入例にするためにこうしたのでしょう。
私なんかは実務に慣れきってしまってるので、このニュースを見て「そういう考え方もあるのか」と目から鱗でしたが、抗議を受けて厚労省がどう対応するかといったところでしょう。
話は少し変わりますが、今年の春頃に「就職人気企業ランキング上位225社のうち、約60%で過労死ラインを超える36協定を締結していた」という記事がネットに出ていました。
(どうしてわかったのかというと、36協定って開示請求が出来るんですね…)
この時はまだ働き方改革関連法が施行される前なので、過労死ラインである「月100時間、2~6ヶ月で80時間」を超える特別条項をつけた36協定も可能だったのですが、そうはいっても堂々と超えていた企業がこれだけいたことに驚きました。
就職活動をする学生は「大企業や有名企業なら安心♪」という謎の信頼感を持たずに企業選びをしなければいけないです。むしろ中小企業の方が、この売り手市場で少しでも求人を獲得するために、働きやすい職場作りに力を入れていることが多いです。トップの目が職場の隅々まで届くので違法状態が起きにくいというのも原因の一つにあると思います。
弊所の顧問先も中小企業が多いですが、原則的な36協定限度時間である「月45時間」を超えてる所すら少ないです。
学生や求職中の方は、変な先入観・固定観念を排除して企業探しをすることをお勧めします。