働き方改革関連法改正により、時間外労働の上限規制が始まっています(大企業は今年4月から施行、中小企業は来年4月から)。

それにあたり、どこからどこまでが労働時間なのかを明確にする必要性も増してきました。

労働時間とは「使用者の指揮命令下」にある時間をいい、それは客観的な視点で判断するとされています。しかし実際には、判断が難しいケースが多々あります。

そこで厚労省から、問い合わせが多いケースをまとめたリーフレットが出ました。

 

労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い

 

リーフレットのタイトルは「研修・教育訓練等の取扱い」ですが、それ以外にも様々な判断が迷うケースが載っています。

 

よく間違われやすいケースとしては、「制服に着替える時間」です。

意外にも、着用が義務づけられている制服に着替える時間は「労働時間」に該当するのです。

よって、会社としては始業時刻の後に着替えてもらうようにするか、始業時刻の前に着替えさせる場合はその時間分の賃金を払わなければなりません(細かい話ですが…)。

但しこのリーフレットに書いてあるとおり、「着用が任意である」か、「自宅からの着用を認めている場合」は、労働時間に該当しません。

実際には間違った取扱いをしている会社が多いと思います。労働基準監督署の調査や労使トラブルになったときにつつかれるので、会社での運用を整理した方が良いところですね。

 

また、交通渋滞の回避のために労働者が自発的に早めに会社に到着した場合は、始業時刻までの間は仕事の指示を受けていなければ労働時間になりません。

北海道は雪が積もるので冬になると早めに出てくることが多いと思います。労働者からすると不満に思うところですが(実際そういう相談はあります)、そこは社会人の常識として、ちゃんと間に合うように早めに家を出なければならないということです。仮に遅刻をしたら遅刻した分の賃金は減額されますし、ペナルティも与えられる可能性があります。

 

また、出張に伴う移動時間は、移動中に仕事の指示を受けず、移動手段の指示も受けず、自由に過ごせるのであれば、労働時間に該当しません。

遠方への出張のため、仕事日の前日にあたる休日に移動する場合(いわゆる前乗り)も、その休日の移動時間は労働時間になりません。

ここも労働者からすると不満の多いところですが、現状はそのような取扱いになっています。

 

こうしてみると労働法は労働者保護の規定が多いと言われていますが、意外とそうでもないこともわかります。

但しこれらのことを従業員にきちっと説明し、どの従業員も同じ取扱いにしていないと混乱し不公平感が生じてしまいます。会社としては、就業規則の整備と周知がとても大事なポイントになってきます。