パートが社会保険料の負担増を恐れて年収を130万未満に抑えようとする「130万円の壁」問題を改善し、働く時間を延ばしたり収入を増やしてもらうために、政府が企業への助成制度を検討していることがわかりました。
現状では、パートの給与が年130万円以上になる見込みだと、配偶者の健康保険の扶養から外れます。さらに、自身の勤務先での労働時間がおおむね週30時間以上だと、自身が社会保険に加入しなければなりません。社会保険に入らずに、かつ扶養の範囲内で働くために、時間や賃金を減らして調整することが一般的に行われています。
社会保険料は企業も半分負担するため、企業にとっても社会保険料の負担のない人を雇えるというメリットがありました。
しかしこういった”壁”があることで、女性の就労意欲を阻害していることが問題視されてきました。
来年10月からは、ひとまず「従業員501人以上」の企業で、「週20時間以上勤務、年収106万円以上」の従業員を社会保険に加入させることが義務付けられています。
助成制度の案としては、この義務の対象とならない中小企業であっても、パート労働者の賃金を2%以上増やした場合に人数に応じて「5万~300万」(大企業は4分の3程度)支給。また、パートの労働時間を週5時間以上延ばし、新たに社会保険に加入させた場合に、1人あたり20万円を助成(大企業は15万)。労働時間の延びが週1~4時間でも、一定の賃上げと組み合わせれば4万~16万(大企業は3~12万)助成されるというものです。
助成は一時金でも社会保険料はずっとかかり続けるため、積極的な加入意欲に繋がるかは不透明なところがありますが、一定の効果を期待したいところです。