このページをご覧になった社長様は、何らかの「目的」があって就業規則を作りたい、もしくは変えたいと思われていると思います。
その目的とは何でしょうか?
就業規則のお手伝いをするにあたり、まずその認識を共有させて頂きます。
当事務所で考える就業規則の目的は、ズバリ「リスク対策」です。
就業規則が何のために存在するかというと、それは事業所の「守り」を固めるためだと考えています。
人を雇用して事業をしていくと、いろんな事が起こります。
もちろん問題が起きなければ良いのですが、人間関係とは複雑なものでなかなかそうもいきませんよね。
就業規則は「人の問題で何かあったとき、あなたの大切な会社を守ってくれるもの」です。
会社を経営してる経営者様は、どなたも売上を伸ばすために頑張っておられると思います。
人を雇用するのも、そのための投資だと思います。
しかし頑張って容器に水をどんどん入れてても、底に穴が開いていたら結局プラスマイナスゼロです。
売上が順調に伸びてる最中、従業員に訴えられたり労基署の是正勧告を受けて何百万も支払ったなどという話はザラにあります。
攻めと守りは表裏一体なのです。
会社を伸ばしていきたいなら、守りをしっかり固めることが何を置いても大切です。
こういう何となくの理由で作りたいとおっしゃる方も多いですが、それだけならネットに無料で落ちているひな型をそのまま使えば十分です。社労士にお金を払って作ってもらう必要はありません。ダウンロードし、会社名のところだけ変えれば何となく体裁は整うので、労基署にも「作ってます」と言えます。
しかしひな型就業規則をそのまま使っていたら、その中に企業にとって何の関係もない内容が入っていても、その内容が契約内容として生きてしまいますので注意してください。
ひな型を「たたき台」として使うのはいいですが、結局1条1条を自社に合わせた内容に変えなければ逆にリスクを高めるだけです。
「じゃあ作らない方が逆に良いんじゃない」と、特に作成義務の無い10人未満の事業所様は思うかもしれません。
それでも作った方が良いのです。
就業規則はリスク対策のために必要と言いました。
就業規則が事業所を守ってくれる具体的な場面をいくつか挙げてみます。
従業員が1人、2人、3人…と増えていくと、一定割合「問題行動の多い人」が入ってきてしまいます。どんなに採用試験をしっかりやっても見抜けなかったり、何年かしてから変わっていく人もいるので、ある程度は仕方ないものです。
会社というのは共通の目的に向かってみんなで頑張っていく「チーム」なので、チームが崩壊しそうなときは「懲戒処分」をしてでも組織を守らなければならない時が来ます。そんな時に「こうこうこういうことをしたら懲戒しますよ」とあらかじめ具体的に書いておくのが就業規則です。
最後の手段として「解雇」をせざるを得ない場面も来るでしょう。解雇も同様に「どんな場面が来たら解雇をするか」を具体的に明記しておくことで、発動することが出来ます。
意外と知られていませんが、懲戒や解雇が争いになったときに裁判官は「就業規則にはどう書いてあるか」を重視します。就業規則は労使の「契約書」なので、就業規則にその事由が具体的に書いてあるほど、その契約書に従ってやむを得ず懲戒・解雇処分をしたのだと主張することが出来るからです。
最近はうつなどの心の病にかかる従業員さんが増えてきて、会社を長期に休む事例も聞くようになりました。
「休職制度」があります。休職制度は法律上設けなければならないものではありませんが、設けた方が良いものです。
休職制度は、従業員にとっては「少なくとも休職期間中は社員の身分を保証してもらえる」(その間に傷病手当金などを申請できる)というメリットがありますが、事業所にとっては「休職期間満了日までに復職出来なかったら解雇でなく自動退職になる」という意味が大きいものです。
病気がずっと治らないとき、会社は永遠に雇用し続けなければならないのか。「雇用の継続がし難い事由」として解雇をしようにも、特に問題のある社員ではない場合、解雇のハードルは上がります。休んでる間も社会保険料の事業主負担は続きますので、大企業のように何年も籍を置いておくのは経営的に厳しいと思います。休職制度は「こういう条件に合致したら自動的に退職となります」ということをあらかじめ労使で契約しておくという意味があるものです。
事業所の人数が増えていくと、組織として「統一したルール」を作りたくなりますよね。
社内での「働き方」に会社としての共通ルールを設けて、従業員に徹底していくことが必要になります。
例えば、「終業時刻が終わったら速やかに片付けをして退社すること。残業をするときは必ず上司に申請をすること」。こういうルールを設けないと、ダラダラ残ってタイムカードを押してしまうかもしれません。退職するときにそのタイムカードでの打刻時間を元に残業代を請求してきたなんていうケースもあります。
「プライベートでSNSを利用するときは、仕事の話題は載せないこと」こういうルールを決めておかないと、会社の同僚や取引先の個人情報をうっかり漏らしてしまうかもしれません。
経営者であるあなたからして当たり前のことでも、当たり前が全員に通じる訳ではありません。文字でちゃんと残しておくことが大事なのです。
他にも、
・新しく採用した従業員の適正を見極める「試用期間」の条件をどうするか
・「誓約書」を取るべきか、どんな内容にするか
・「身元保証書」を取るべきか
・有給休暇の取得ルールをどうするか
・定年をどうするか
・パートタイマーを採用するか、する場合の労働条件や社内ルールをどうするか
・パートから社員への転換制度を設けるか
など、検討すべき職場のルールはたくさんあります。
こうしてみると、例え法律上の作成義務が無い10人未満の事業所でも、絶対に作っておいた方が良いと理解して頂けると思います。
こうした目的での就業規則を勧めているコンサル会社や社労士事務所さんもいますが、正直こういう効果は「限定的」だと思っています。
もちろん従業員のモチベーションが上がるようなリフレッシュ休暇制度だとか、表彰制度とか、作った方が良いと思います。無いよりあった方が良いことは間違いありません。そういった意味で嘘ではないと思います。こうした取り組みは社内に「宣言」をすれば済むものなので、数十万もかけて「就業規則」というモノに入れる意味は、費用対効果から考えるとあまり無いような気がします。
就業規則を毎日唱和するでしょうか。経営理念は「クレド」を作ったり朝礼や研修、社員との面談の場で繰り返し伝えるのが良いのです。
百万かけて就業規則を作ったら業績が飛躍的に向上したという話もあまり聞きません。
目的がばらけてしまうと本来の目的を見失います。
特に小さな会社は湯水のようにお金を使える訳ではないので、「就業規則の目的はリスク対策だ」と絞って取り組んだ方が絶対に良いです。
なお会社の業績向上には、当事務所が提供する「社員研修」と「評価制度」を是非取り入れてください。
当事務所は、開業してから10年以上、労働トラブル解決に力を入れてきました。
特定社労士が行える「あっせん代理業務」では北海道で随一の実績を上げてきました。
労働トラブル解決に強いからこそ、「リスク防止型の」就業規則をお作り出来ると思っています。
「あなたの会社を守る就業規則」は当事務所にお任せください。
※一度作成した後も、法改正等に伴い随時メンテナンスは必要です。顧問先様には「顧問先割引価格」が適用されるほか「法改正に伴う変更」を顧問料の範囲内で行えますので、顧問契約をお勧めします。