厚生労働省が、「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を今年も発表しました。
これは毎年この時期に発表しているもので、全国の労働局・労働基準監督署に設置された総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談の件数や、民事上の労働相談の中身を公表しているものです。
労働相談全体の件数としては、10年連続で100万件を超え、依然高止まり傾向が続いています。
民事上の相談のテーマとしては、ここ10年ほどで「いじめ・嫌がらせ」すなわちパワハラに関する相談の増加が止まらないのですが、今年もまた前年比102%と増加し、2位以下に大きく大差をつける結果となりました。
一方、2009年まで「労働相談の王様」だった「解雇」は、リーマンショック明けの2010年から減少を続け、近年の「人手不足」と相まって今年も前年比91%と激減しました。
また今年の特徴として、無期雇用転換の影響か「雇止め」が前年比116%と急増しました。
紛争調整委員会の「あっせん」の申請件数は、前年比98%と減少し、10年前には8,000件を超えていたのが今は5,000件を少し上回るくらいまで減少を続けています。
相談件数は高止まりなのに、あっせん件数が増えないということは、あっせんという制度が相談者の期待に応えられていないということでしょう。