「老後、年金だけでは生活できないので2000万円を自力で貯めて欲しい」

金融庁がこんな驚きの報告書をまとめました。

金融庁の試算によると、夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯の場合、年金収入は20万、平均的な支出は26万で月6万の赤字になる。

これを30年続けると約2000万になるとのこと。

日本の年金がもう制度として破綻しており、今の現役世代は自分の老後には年金をあてに出来ないというのは薄々感じていたと思いますが、国にこうはっきり言われると無責任だと憤りを覚えますね…。

「国はあなたの面倒を見ませんよ。2000万貯められなければ早く死んでください」と言っているようなものです。

日本の年金は「賦課方式」と言われる、「その時の現役世代がその時の高齢世代を養う」仕組みとしてスタートしています。

これがそもそも間違いでした。生命保険のように、自分の保険金を自分の掛金で積み立てる制度にしていれば、何にも問題はなかったはずです。

国民年金が始まった昭和30年代は高齢世代よりも現役世代の方が圧倒的に多かったので、十分養えていたし、むしろ掛金が余ってしょうもない施設をたくさん作っていたのはご存知の通りです。

ここまで少子高齢化になるのは予想が難しかったかもしれませんが、リスク要因としてちゃんと挙げておかなければならなかったですね。

よく我々が「国に対して怒る」ことがありますが、もちろん「国」という人はいません。正確には昭和30年当時に「賦課方式」を提案した役人の誰か、決定した当時の行政府の長が責任者となるのでしょうが、恐らくもう生きていないでしょう。なので怒りのやり場がありません。

あと金融庁の報告書で違和感があるのは、投資などの資産運用をやたら勧めていること。金融庁だからなのかもしれませんが、リスクを考えずに国民年金の制度設計を失敗した国が、またリスクのある資産運用を国民に勧めるというのは性懲りもない気がします。

国というものの役割は、国民の生命と財産を守ることです。役人と政治家はそれが仕事だと自覚して、サジを投げずに国民を守る方法を考え続けて欲しいです。