近年、国民年金第3号被保険者の存在について様々な議論が起こっています。第3号被保険者とは、厚生年金か共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)を言い、主に専業主婦やパート労働者が該当します。彼らの年金制度の保険料負担は必須ではありませんが、その必要性について再評価する時期が訪れたと言えるでしょう。 

まず、第3号被保険者の廃止を求める理由の一つは、公平性の観点からです。通常、労働者や自営業者、無職等の人は厚生年金、共済、国民年金などの年金制度に加入し、保険料を負担しています。それに対して、第3号被保険者はその負担が完全に免除されています。この差が公平であるとは言えず、社会保障制度の均衡を考える上で見直す必要があるという考えです。 

第二に、国民年金第3号被保険者の廃止は社会保障制度の持続可能性に関わる問題です。少子高齢化が進む中で、年金制度の財政的な持続性が重要な課題となっています。現状では、第3号被保険者が保険料免除の恩恵を受けている分、財政的な負担は他の加入者に転嫁されています。制度全体の健全性を確保するためにも、第3号被保険者制度の廃止による「支え手の増加」が必要です。 

さらに、第3号被保険者の廃止は制度の効率化にも繋がります。現在の第3号被保険者制度は独自の手続きが存在し、運営には人的・経済的なコストがかかっています。一方、他の社会保険に統合されれば、運営コストの削減や統一的な手続きの効率化が期待できます。 

ただし、一律に廃止することには慎重さが必要です。一般に第3号被保険者は子育てや老親の介護を担っている人も多いからです。一律に廃止するのではなく、子育てや介護をしている人に限っての免除・軽減措置を検討するのもひとつでしょう。また病気療養中等やむを得ない事情へのケアも必要です。被扶養者だから一律に免除、ではなく個々の事情に鑑みての負担の応分が求められます。 

国民年金第3号被保険者廃止の議論は、社会保障制度の健全な発展と持続可能性を追求する上で重要な一石となっています。公平性や財政的な健全性を考慮しながら、より効果的かつ効率的な社会保障制度の実現を目指していくことが求められます。