政府が今年の「骨太の方針」の原案を示し、その中で現在30代半ばから40代半ばのいわゆる「就職氷河期世代」について、今後3年間で30万人の正規雇用を目指す方針と発表しました。

対象は1993年~2004年に大学や高校を卒業した人のうち、非正規雇用や引きこもり状態にある100万人。就職相談体制や人材育成プログラム、正規雇用化した企業への助成金の見直しなどが盛り込まれています。

私はもろに就職氷河期世代の1972年生まれです。第二次ベビーブームで人口が多く競争が激しかったことに加え、バブル崩壊が直撃して、「外れくじ世代」とも言われています。フリーターという言葉を生み出した世代です。

ちょうど私が大学3年生、これから就職活動という時に「どうやらバブル景気って弾けたらしいよ」という噂が流れたのを覚えています。その時は意味がよくわかってなかったのですが、受けた企業にことごとく落ちて、「就職活動ってこんなに難しいんだ」と思いました。就職活動時期の終盤になってなんとかパン屋さんに拾ってもらえました。

新卒で入ったパン屋さんですが、毎日終電で帰って始発で出社するという激しい会社で、1日3~4時間しか睡眠が取れず、なんと1ヶ月半で逃げるように辞めてしまいました。同期には1ヶ月ももたなかった人もいたので、これでも2番目の早さです。

その後はアルバイトを1年半ほどしてました。今でいうフリーターですが、当時はフリーターという言葉もまだ一般的ではなかった時でした。意味もなく公務員試験にチャレンジしましたが落ちました(特になりたい訳ではなく、親に対するアピールのために受けたようなものだったので、落ちて当然です)。

ちゃんとした会社に就職して給料をもらってる同期と自分を比べ、自分がいかにダメ人間かと落ち込んでいました。人に言わせると「時代が悪い、しょうがないよ。気の毒に」となるのですが、どうしてもちゃんと就職してる人もいるので、比較してしまうんですね。なので「自分が悪い。自分がダメだからだ」と責めてしまうのです。

正直、今はどの企業も人手不足で、就職しやすい時代です。仕事を選ばなければ、就職できないことはありません。たとえ中高年であっても。それでも就職できないのは、やっぱりやりたくない仕事には就きたくないという気持ちがあるんですね。

私が思うに、大学まで出てる人の方が、プライドがあり仕事を選ぼうとして、就職がうまくいってない気がします。「自分はこんな仕事はしたくない。自分はここまで落ちぶれていない」そのまま10年、20年ときて、気付けば中高年になっていたという。中途半端なプライドがあるので、「自分がこうなったのは時代のせいだ。社会のせいだ」となる訳です。

自分を責める気持ちと、社会のせいにする気持ち。この相対する2つの気持ちを、両方持ってる気がします。非常に複雑な心理状態でこじれているので、簡単ではありません。

安倍総理はかなり前から「再チャレンジ社会」を掲げていますが、うまくいってるようには見えません。就職相談体制や人材育成プログラムも大事ですが、そういうものを利用しようという前向きな気持ちを引き出すのがまず難しい。まして企業への助成金なんて意味がありません。この世代の人たちが抱えている心の闇は複雑で、一人一人全然違うのですが、そこにフォーカスを当てていかないといけない。

私自身も今まで述べてきたことの当事者であり、一歩誤ったら間違いなく社会からドロップアウトしていた自覚があるので、そう簡単なことではないことはよくわかります。「じゃあどうすれば良いのか」との結論がすぐ出せる問題ではない。ただ一つだけ言えるとしたら、生まれた時から恵まれた家庭に育ってきた政治家や、エリート街道しか歩んでこなかった役人だけで喧々諤々と議論するのではなく、「一人でも多くの」当事者の話を聞いて欲しいなというのがあります。