吉本興業の宮迫さんと田村亮さんの記者会見で、社長から「お前らテープ回してないやろな」と言われた、との発言がありました。

吉本と所属芸人との関係は、そもそも契約書を交わしてないので雇用契約なのか何なのかわかりませんが、通常の雇用契約である会社の職場においても、従業員が社長や上司との会話を「こっそり録音」することはあります。

このような秘密録音は違法ではないのかと思われるかもしれませんが、判例・学説とも、「パワハラの証拠集めのため」という目的で自分と上司の会話を録音する行為は違法ではないし、裁判においても証拠として認められる可能性が高いとの見解が多数です。

私が労働相談を受けていても、数年前までに比べ、従業員が上司との会話を秘密録音するという行為はとても増えてきたように感じます。

増えてきた要因としては、次のようなものが挙げられます。

・「録音しても違法ではない」という安心感が、ネットの情報で簡単に得られるようになった

・パワハラが増えている(但しここでいうのは「パワハラに関する労働相談・労使紛争が増えている」という意味で、パワハラ行為自体が増えているという意味ではありません)

・スマホ所持が当たり前になり「全員録音機器を常備している世の中」になっている

 

就業規則で、職場内での録音行為を禁止すると定めている会社もありますが、秘密録音はそもそも「秘密に録音」する訳ですから、録音して良いですか?と聞かれる訳ではないので、止めようがありません。そしてそのように就業規則を破って秘密録音した会話も、裁判になれば証拠として取り上げてもらえるのです。

(「就業規則違反」として懲戒処分を科すことはまた別問題)

 

こうなってくると、社長や上司にすれば常に「録音されてるかもしれない」という猜疑心に苛まれ、ちゃんと注意出来ないという弊害が出てきてしまいます。

ちゃんと注意してあげられないのは、従業員の成長の芽を摘んでしまうことになり、結局その従業員が可哀想な目に会うだけです。

ただ社長・上司が部下を注意・指導するときに、パワハラにならないよう気を付けるポイントとしては、私は大きく2点あると思います。

この2点に気を付ければ、それ程恐れなくても良いのかなと思います。

 

一つは、従業員の「人格」を非難するのではなく、「行動」を正してあげることにフォーカスすること。

もう一つは、その人の将来のために言ってあげるという「従業員を思う気持ち」を持つこと。

 

2つ目は気持ちの問題になってしまって申し訳ないのですが、あながち間違ってはいないと思うのです。

そうした気持ちは、伝わる人にはちゃんと伝わります。

伝わらない人には・・・伝わらないかもしれませんが(笑)、仮にそれを録音されて争われたとしても、客観的第三者にはわかるのではないでしょうか。

 

それにしてもここ数年くらいで急激に監視カメラや秘密録音を許容するような世の中の空気になり、なんだか怖いなぁと思います…。

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