7月28日、中央最低賃金審議会から今年度の最低賃金引き上げの目安が発表されました。
全国平均で55円の引き上げ(1,176円)、ここ北海道でも56円の引き上げ(目標1,131円)となり、ついに1,100円の大台を突破する見通しとなりました。

連日のように「物価高だから賃上げを」というニュースが流れており、労働者の生活を守る視点はもちろん理解できます。
しかし、日頃から中小企業・小規模事業者の経営者様と伴走している立場からすると、「企業の苦しさはどこへ届いているのだろうか」と胸が痛む思いです。

 

物価高で苦しいのは「企業」もまったく同じ

「物価が上がっているから給与を上げる」という論理は一見正しく見えます。 しかし、企業にとっても原材料費、エネルギーコスト、設備投資の費用はすべて高騰しています。

加えて中東情勢悪化の影響が長引き、特に製造業は大打撃を受けています。

利益が十分に増えていない中で、固定費である人件費だけが法律によって強制的に引き上げられる。
これは特に、価格転嫁が追いついていない小規模企業や、労働集約型の現場(介護・福祉・保育・飲食・サービス業など)にとっては非常に重い負担であり、企業の存続に関わる問題です。

 

「市場原理」と「多様な働き方」への思い

そもそも、現在の深刻な人手不足の中では、良い人材を確保したい企業はすでに自発的な賃上げに取り組んでいます。市場原理の中で自然と昇給が行われるのが資本主義国家の本来の姿であり、強制的な一律引き上げには疑問を感じざるを得ません。

また、働く側のニーズも一様ではありません。
「責任や負担を増やさず、自分のペースで無理なく働きたい」「給与の額面よりも、プライベートや居心地の良さを優先したい」という労働者の方々もたくさんいらっしゃいます。

最低賃金が一律で大きく底上げされることで、そうした「双方の条件が合致していた柔軟な働き方の枠組み」まで狭まってしまうのではないかという懸念もあります。

 

制度を変えられなくても、現場でできる防衛策を

決まってしまった法改正や目安額を個人の力で覆すことはできません。
だからこそ、経営者においては「ただ耐える」のではなく、「法律の枠組みの中でどう会社と雇用を守るか」という視点が不可欠になります。

・業務効率化とデジタル化の推進
 人件費が上がる分、無駄な作業を削り、AIの活用をはじめ少ない人数でも回る省力化の仕組みを本気で作る。

・適切な価格転嫁と自社サービスの価値見直し
 「安さ」ではなく「質の高さ」や「自社ならではの強み」で選ばれる体制へシフトする。

・福利厚生や労働環境など「給与以外の魅力」の強化
 人間関係の良さや柔軟なシフトなど、他社にはない働きやすさで定着率を高める。

 

最後に

ここ数年、毎年のように大幅な引き上げが続き、経営者の皆様の気力や体力が削られているのを感じます。

法律上のルールは遵守しなければなりませんが、弊社は経営者様の苦労の味方でいたいと考えます。負担増をどう乗り越えるか、職場環境の構築などお困りのことがあればいつでもご相談ください。