昨日のブログで取り上げました「道内181の保育所で是正勧告」というニュースについて、北海道新聞は27日夕刊に続き28日朝刊でも1面トップで報道していました。内容としては労働基準法などの違反で是正勧告があった事実のほか、保育士の長時間労働や低賃金といった劣悪な労働環境を紹介し、これでは保育士の確保など図れないといったものでした。
確かに該当保育所に労基法違反があったことは事実でしょうが、いかにも保育所すべてが劣悪であるという印象を持たせる記事の内容には違和感を感じました。
是正勧告の内訳としては、もっとも多いのが36協定届出違反(133件)で、2位が労働条件明示義務違反(71件)。これは昨日も書いたとおり、知らなかった所も多いと思います。知らなかったから許される訳ではありませんが、残業代不払いなどに比べると従業員本人への不利益という観点ではそれほどではありません。本人への実害がある割増賃金不払いは3位(36件)です。もちろん少しでもあってはならないことですが、記事を全部読んだ印象ではどの保育所でも不払いが状態化しているように取れてしまいます(保育所全体の数は道内で1500を超えます)。
また、労基法違反の話と「低賃金で働いている」話をごちゃ混ぜにしていますが、法令違反の問題と「もっと給料を上げてあげるべきではないか」という「べき論」とは、分けて論じなければなりません。労基署も、低賃金であることについて是正勧告など出しません(最低賃金を下回っていれば別ですが)。
認可保育所は、利用者が自治体に利用料を払い、自治体から保育所に運営費・人件費が払われるので、給料をもっと上げてあげようとしても、おのずから限度があるのです。一般の民間企業と比べ営業努力の範囲が限られています。
また認可保育所は年に1回、自治体による監査が入って、労基法違反も含め厳しく調べられます。何度か立ち会ったことがありますが、労基署の調査よりも細かくて厳しいです。法令違反だけでなく「べき論」の話も出てくるほどです。私の印象では、認可保育所は他業種の企業と比べても遵法意識が高いように思えます。記事では認可保育所と認可外保育所をごちゃ混ぜに論じているのも乱暴だと思います。労働局は是正勧告を出した保育所名を公開していませんから、認可保育所がどれだけあり認可外保育所がどれだけあったかわからないはずです。記事に出てくる認可外保育所に勤める1人の女性のエピソードがどこにも当てはまるというのは間違いです。
もちろん一部の保育所に法違反があるのは事実ですしこれを取り上げるのは構いませんが、それはどの業界でも同じですから、保育所だけがとりわけ劣悪職場であるかのように連日1面トップでセンセーショナルにうたうのは、ちょっと違うのではないかと思いました。


