さる9月29日、北海道社会保険労務士会主催の「紛争解決手続代理業務実務研修会」の講師を務めさせて頂きました。

 

 あっせんは9割以上が労働者側からの申立てですが、今回は「会社があっせんを使って早期に労働紛争を解決する方法」をお話しました。

 会社からあっせんを使うには、①会社があっせん申請書を作って申請を上げる ②労働者にあっせんの利用を提案する ③労働者があっせん申請を出すよう「誘導」する という3つの方法が考えられます。どの方法が最も良いかはその案件によりますが、労働者側から申請してもなかなか成立しないのに比べ、会社側から申請すると大体うまくいくというのが、私のあっせんの経験から感じるところです。

 ですので先に会社にあっせんの良さをわかってもらい、会社からあっせんに持っていけば、労働トラブルはかなりの確率で早期解決出来ます。

 会社があっせんの利用を渋るとしたら、あっせんはお互いに妥協するのが前提の制度なので「なんでアイツに妥協しなければならないのだ!」という気持ちの問題が大きいと思います。しかし万が一裁判になってしまったら、より多く解決金を支払うことになるというのが、データからも明らかになっています。特に解雇をめぐる紛争の場合、よっぽどでない限り裁判になったら会社は無傷では済みません。「本当にあっせんを利用しなくていいんですか?」「裁判になったら解決金も高額になるし、弁護士費用もかかりますよ?」ということです。

 

 あっせんの利用件数は鈍化傾向という数字も出ていますが、会社も社労士もあっせんを上手に使いこなせば、早期かつ負担も少なく紛争を収束させられる、非常に使い勝手の良い制度だということをわかって頂ければなと思います。


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