労働者の相談事例

残業に関する労働相談・・・人材紹介会社の課長Gさんからの相談
毎月80~100時間の残業をしてきて、終電までに帰れずタクシーで帰ることもしばしば。 会社からは「あなたは管理監督者に該当するため、残業代は支払われません」の一点張りだった。 このままでは体が壊れると思い退職した。未払いの残業代は200万円に上る。 全部とは言わないまでも、少しでも払ってもらえないだろうか。

「街の労働相談所」からのアドバイスと対応

 たしかに労働基準法で定める「管理監督者」に当たると、残業代は支払わなくて良いことになります。 そこでGさんの勤務状況を詳しく聞いてみました。するとGさんは給与こそ一般社員より優遇されていましたが、出退勤について自らの裁量は全く無く、 仕事内容についても自分の責任で決められるものは大幅に制限されていることがわかりました。 出退勤に裁量が無いことがわかる証拠として、欠勤申請書などがありました。また、仕事内容の権限がわかる証拠として、権限分担表を持っていました。 これらを総合的に見て、管理監督者には該当しないのではないかと考えました。

 次に、月に80時間~100時間残業をしていたことの証拠は無いか調べてもらいました。 勤怠表はありましたが、上司に言われるまま書いた「定時に帰っていることになっている勤怠表」しかありませんでした。 しかし、終電を逃しタクシーで帰った日が結構あったのが幸いし、タクシー代の申請書が残っていました。 その申請書には「深夜帰宅のため」と書いてあり、上長の決裁印も押してありました。これで請求可能であると判断しました。

 まず正確な残業代を計算し、会社に内容証明郵便で送付しました。予想通り会社からは、顧問弁護士名で「管理監督者に当たるので支払いません」と回答が来ました。 そこで私は、行政機関に個別労働紛争解決のための「あっせん」を申し立てました。あっせんは労使が歩み寄りにより労使紛争を和解に持っていく第三者機関です。 迅速・低料金・非公開など裁判に無いメリットがあり、弁護士さんならそのメリットに気付き参加してくれるのではないかと思いました。 期待どおり会社側からは参加の回答があり、あっせんが行われました。

労働相談を受けたその後・・・証拠が効果的に働き、予想以上に良い金額で決着
 あっせんは双方の歩み寄りにより早期に決着させる制度なので、請求額全額を求めることは出来ませんが、証拠が効果的に働き、予想以上に良い金額で決着出来ました。 Gさんは当初泣き寝入りしようかとも考えていましたが、勇気を出して立ち上がり、体を壊してまで会社に尽くしたことが少しでも報われたとおっしゃっていました。

 この案件は何と言ってもGさんが多くの証拠を集めてくれたこと、そしてあっせんの申立て時には「未払い残業代」でなく「長時間残業に対する損害賠償」の名目で請求したことで、 管理監督者制を争わず、会社側が支払いやすいような戦略にしたことが、良い解決の決め手でした。

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