菅義偉官房長官は17日午後の記者会見で、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の年金記録問題に関する特別委員会の報告書で依然、未解明とされている約2100万件の年金記録に関し、これ以上の解明は困難との認識を示した。
 菅長官は未解明分について「解明には本人からの申し出が必要だ。申し出がなければ、なかなか難しい状況だ」と指摘。「国で実施できる作業は一通り終え、そのめどが見えてきたと報告を受けた」と述べ、政府としてこれ以上の対応には限界があるとの立場を示した。
 一方で菅長官は「一人でも多くの方が年金記録を解明できるように、粘り強く『ねんきんネット』などを充実していく必要がある」と強調した。 (時事通信より)

 

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 今後は国が積極的に調査することはせず、本人から申し出があったら動きますよということらしいです。すなわち事実上の調査終了と言っていいと思います。

 怒りを通り越して呆れるとはよく言いますが、一周回ってまた怒りが湧いてきます。

 調査を終了することに対しでではなく、安倍総理が「最後の一人に至るまでやる」と約束したことに対してです。

 

 2007年の参議院選挙の演説の中で、安倍首相は「最後の一人に至るまで、記録をチェックして、まじめにこつこつと保険料を払って頂いた皆さんの年金を正しくきっちりとお支払いしていく」と約束しました。それで選挙を戦いました。

 

 ちょうどその頃、私はとある年金事務所(当時は社会保険事務所)で、年金相談員として相談を受けていました。ですからよくわかるのですが、現場レベルでは「最後の一人まで記録を統合するのは絶対に不可能」と皆わかっていました。

 なぜなら、記録が見つかっても敢えて統合しないケースもあるのです。厚生年金は、加入期間と給与の額から年金額が計算されます。人によっては加入期間が既に上限に達しており、あらたに見つかった記録が給与の低いものであった場合、統合すると年金額が逆に下がってしまうのです。それをご本人に説明すると、当然「統合しないでほしい」となります。よって、現場判断で統合を見送るのです(あくまで現場判断です。厚労省の公式見解では言ってないと思います)。だから、最後の一人まで統合するのは「絶対に不可能」なのです。 

 まして、今見つかってない主な原因である「本人に通知したが返事がない」というのも当然予想出来る。見つかったのがほんの1~2か月の記録なら、年金額にほとんど影響しないので、手続の手間の方が面倒くさいと考えるのは人として当然のこと。

 現場ではそういうことまで十分予測出来てました。安倍総理には、そういう報告が耳に入っていなかったのか。入っていなかったならそれはそれで問題だし、入っていて選挙のためにあんな発言をしたなら、まさに詐欺的行為です。(当時の厚生労働大臣の舛添さんも同じく公約だと言いました)

 

 ちょうど、また安倍さんが総理になっている訳ですし、きちんと当時の発言につき説明して頂きたいです。

また、舛添さんも説明責任を果たすべきだと思います。

 


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