今日から新しい年度が始まりました。今日は各地で新入社員が入社式を迎えたことと思われ、街には新品な感じのスーツを着た人がちらほら見られました。

 

 さて先週末のニュースで、北九州市の食品会社が定年を迎えた社員に賃金が75%減となる働き方を提示したのは不法行為にあたるとして、会社に慰謝料100万円の支払いを命じた福岡高裁の判決が確定したとの報道がありました。

 

 ここで高年齢雇用安定法で定める継続雇用制度について、あらためてまとめておきます。

 2013年に改正施行された同法では、それまで定年が60歳だった企業に対し、以下の3つの措置を講ずることで「希望者全員の65歳までの雇用確保」を求めています。

 

(1)定年の延長

(2)定年の廃止

(3)継続雇用制度の導入

 

 すなわち「(3)継続雇用制度の導入」を選択すれば、定年は60歳のままで良いというのが現行法になります。 

 実際厚生労働省が昨年実施した調査では、従業員31人以上の企業約15万6千社のうち約8割が、(3)継続雇用制度を採用していました。

 

 継続雇用制度では定年前の待遇をいったん終了し、白紙の状態から新たな労働契約を結ぶことになります。60歳の定年により、いったん雇用関係がリセットされるからです。この際、労働者の希望に合致した契約を結ぶ義務はないため、多くの場合企業は人件費抑制や加齢による生産性の低下を考慮し、賃金を引き下げた労働条件を提示し再雇用契約を結ぶことが一般的になっています。

 

 福岡高裁の判決によると、こうした定年後の再雇用について、「定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが原則」と言っています。

 よって75%もの減額は高年齢雇用安定法の「趣旨」に照らし合わせて不法だということです。

 

 確かにやり過ぎは良くないでしょうが、「労働条件の継続性・連続性」と言い始めたら、正直「定年」という制度が何のためにあるのかよくわからなくなってきます。この「労働条件の継続性・連続性」というキーワードが、今後多くの企業にのしかかってくることになりそうです…。

 

 もっとも「一定程度」と言っていますから、まったく同じ労働条件にしなければならない訳ではないでしょう。しかし今後は賃金や勤務時間を減らした労働条件を提示する場合、その合理的な理由を説明出来る材料をきちんと揃え、本人に対しても、このように争いになったときに裁判官に対しても説明出来るようにしておくことが、間違いなく必須となっていくことと思われます。

 

 

 

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