先月、「政府が育児休業を最長2年程度まで延長する方針を固めた。厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会で延長幅などを決め、来年の通常国会に関係する改正法案を提出する予定」というニュースが出ました。保育所になかなか入れないため、育児休業を取れる期間を延ばすことで待機児童の解消を目指す動きです。恐らく本人に給付される「育児休業給付金」の延長とセットで成立させるものと思われます。ネットで国民の反応を見ると賛成の意見もありますが、おおむね「そこじゃないだろ」という意見が多いようです。

 

 多い意見としては・・・

①実際2年も取らせてくれる企業など大手でなければ無い

②2年もブランクがあったら復帰しづらい

③2年経ったら結局預けなきゃいけないが、その預け先が無い

④望んでいるのは育休の延長ではなく、時短しながら働ける制度と預け先

 

 ①は企業に法令順守を徹底させれば解決出来る問題ですが、②以下はその通りだと思います。結局公的資金を「預け先の拡充」に使うのではなく「育休」に使うことが、「そこじゃない」感を感じさせるのでしょう。

 

 国も手をこまねいている訳ではなく、今回の法改正案で「国庫の雇用保険への補助を減らし、保育士の給与アップに使う」という案も出ています。雇用保険の財源は余っているようなので、こういうアイデアはどんどん進めて頂きたいですね。財源が余り過ぎてて雇用保険料率をまた下げるという話も出ていますが、元々低い雇用保険料率を下げてもそんなに嬉しさはありません。それよりもこういうことに使った方がよっぽど良いです。

 

 保育所は基本的には補助金で運営されているので、給与を上げたくても上げられない。そのため保育所で働きたいという人が減っている。これは本当に由々しき問題です。

 弊所のお客さんで保育所があるのですが、保育士を募集しても応募が来なくて本当に困っていると嘆いていました。また保育士の側も企業の足元を見ていて、特に理由もないのに無断欠勤を繰り返したりというわがままが散見されるそうです。普通なら解雇でもおかしくないのに、「辞められたら困るから」と本人に注意も出来ない異常事態になっているのが今の保育所の実態です。

 

 それから保育士という「人」だけでなく、保育所という「ハコ」もなんとか増やしていかなくてはなりません。せっかく園を作りたいという事業主が現れ、作れる場所があっても、近隣住民の反対で断念という悲しいニュースをよく見ます。近隣住民の気持ちもわかるのですが、何とか受け入れられないのでしょうか。例えば雇用保険に対する国庫補助を更に減らして、近隣住民への「お見舞金」みたいな形で配ることは出来ないでしょうか。カネで解決みたいに思われるかもしれませんが、保育所の設置を負担と感じる人にとっては代償措置があれば受け入れやすくなると思います。きれい事を言ってる場合じゃないので、そういった「知恵」もどんどん出し合っていけばいいと思います。

 

※本稿では幼稚園や認定こども園も合わせて「保育所」という書き方でまとめました


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